代表弁護士で温泉ソムリエの木村哲也です。

最近の休日は、青森県内各地の温泉によく足を運んでいます。

今回の日常コラムでは、温泉に関する法的なルールと、最近訪れた青森県内の温泉のご紹介を中心にお話させていただきます。

1 温泉法が定めるルール

「温泉法」という法律では、次のようなルールが定められています。

(1)温泉の保護等

温泉を湧出させる目的で土地を掘削する場合、温泉の湧出路を増掘し、または温泉の湧出量を増加させるために動力を装置しようとする場合には、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請してその許可を受けなければならないことが定められています(温泉法3条1項、11条1項)。
そして、掘削等が温泉の湧出量・温度・成分に影響を及ぼすと認めるとき、掘削等のための施設・設備や掘削等の方法が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する環境省令で定める技術上の基準に適合しないものであると認めるとき、その他掘削等が公益を害するおそれがあると認めるときなど、一定の不許可事由に該当する場合には、掘削等の申請は不許可となります(不許可事由がなければ、許可されます。温泉法4条1項、11条2項・3項)。

また、可燃性天然ガスによる災害防止のための都道府県知事による緊急措置命令等(温泉法9条の2)、掘削等が行われた場所に温泉が湧出しない場合等の都道府県知事による原状回復命令(温泉法10条)、温泉源を保護するための都道府県知事による温泉の採取の制限に関する命令(温泉法12条)、他の目的で土地が掘削されたことにより温泉の湧出量・温度・成分に著しい影響が及ぶ場合の都道府県知事によるその土地を掘削した者に対する措置命令(温泉法14条)、などのルールが定められています。

(2)温泉の採取に伴う災害の防止

温泉源からの温泉の採取を業として行う場合、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請してその許可を受けなければならないことが定められています(温泉法14条の2第1項本文)。
そして、温泉の採取のための施設・設備や採取の方法が可燃性天然ガスによる災害の防止に関する環境省令で定める技術上の基準に適合しないものであると認めるときなど、一定の不許可事由に該当する場合には、温泉の採取の申請は不許可となります(不許可事由がなければ、許可されます。温泉法14条の2第2項)。
なお、温泉の採取の場所における可燃性天然ガスの濃度が環境省令で定める基準を超えないことについて、環境省令で定めるところにより都道府県知事の確認を受けた場合には、温泉の採取の許可を受ける必要はありません(温泉法14条の2第1項ただし書き、14条の5第1項)。

また、可燃性天然ガスによる災害防止のための都道府県知事による緊急措置命令等(温泉法14条の10)、などのルールが定められています。

(3)温泉の利用

温泉を公共の浴用または飲用に供する場合、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に申請してその許可を受けなければならないことが定められています(温泉法15条1項)。
そして、都道府県知事は、温泉の成分が衛生上有害であると認めるときは、許可をしないことができると定められています(温泉法15条3項)。
さらに、都道府県知事は、公衆衛生上必要があると認めるときは、許可を取り消すことができると定められています(温泉法31条1項1号)。

また、温泉を公共の浴用または飲用に供する場合、施設内の見えやすい場所に、環境省令で定めるところにより、①温泉の成分、②禁忌症、③入浴または飲用上の注意、④入浴または飲用上必要な情報として環境省令が定めるもの、を掲示しなければならないことが定められています(温泉法18条1項。温泉の表示については、後述します)。

さらに、環境大臣による温泉の公共的利用増進のための温泉利用施設の整備および環境の改善に必要な地域の指定(温泉法29条)、環境大臣または都道府県知事による指定地域内の温泉利用施設の管理者に対する温泉利用施設またはその管理方法の改善に関する指示(温泉法30条)、などのルールが定められています。

(4)罰則

温泉法が定めるルールに違反した場合には、罰則の適用があります(温泉法38条~43条)。

そして、温泉法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない場合には、温泉の掘削等・温泉の採取・温泉の利用の申請が許可されず(温泉法4条1項4号・6号、11条2項・3項、14条の2第2項2号・4号、15条2項1号・3号)、許可の取消しを受けることがあります(温泉法9条1項2号、11条2項・3項、14条の9第1項2号、31条1項2号)。

2 大鰐温泉

大鰐温泉は、大鰐町にある温泉です。
円智上人が建久年間(1190年から1198年)に発見したと伝えられています。
江戸時代には津軽藩の湯治場として歴代藩主も訪れ、津軽地方の人々の療養の場として広く利用されてきました。

【大鰐温泉駅前の鰐マスコット像】

2024年4月某日、大鰐温泉を訪れました。
大鰐温泉に来るのは、今回が2回目でした。
この日は、「不二やホテル」様に宿泊しました(なお、1回目はお客様の招待により大鰐温泉を訪れ、「界 津軽」様に宿泊しました)。

【大鰐温泉駅前の鰐マスコット像】

2024年4月某日、大鰐温泉を訪れました。
大鰐温泉に来るのは、今回が2回目でした。
この日は、「不二やホテル」様に宿泊しました(なお、1回目はお客様の招待により大鰐温泉を訪れ、「界 津軽」様に宿泊しました)。

「不二やホテル」様では、大浴場(内湯)と露天風呂で大鰐温泉の湯を楽しむことができます。
泉質は「カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(低張性中性高温泉)」であり、「塩化物泉」と「硫酸塩泉」の2つの泉質の効能を持ちます。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

※本コラムにおける泉質名および適応症・禁忌症の記載は、平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」によります。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 【塩化物泉】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
【硫酸塩泉】
塩化物泉と同じ

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 【塩化物泉】
なし
【硫酸塩泉】
なし

その他、以下のような効能があるとされています。
①「塩化物泉」「硫酸塩泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。
②「硫酸塩泉」は肌を蘇生する美肌効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。

【温泉】
 
※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。

そして、「不二やホテル」様のお食事は、青森の旬の食材を使用したお料理を楽しむことができます。
夕食では、津軽の山と海の恵みを使った旬の懐石料理をおいしくいただきました。

【温泉】



※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。

そして、「不二やホテル」様のお食事は、青森の旬の食材を使用したお料理を楽しむことができます。
夕食では、津軽の山と海の恵みを使った旬の懐石料理をおいしくいただきました。

【夕食】
  

 
※台物の鍋には大鰐温泉もやしが入っていました。

【夕食】







※台物の鍋には大鰐温泉もやしが入っていました。

3 公衆浴場法・旅館業法が定めるルール

温泉に関する法律として、日帰り温泉施設には「公衆浴場法」という法律が適用され、温泉旅館には「旅館業法」という法律が適用されるため、そのルールに従わなければなりません。
なお、温泉旅館が大浴場などの共同浴室を使用して日帰り入浴をさせる場合には、旅館業法と公衆浴場法の両方のルールが適用されます。

(1)公衆浴場法が定めるルール

業として公衆浴場を経営する場合、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長。以下同じ)の許可を受けなければならないことが定められています(公衆浴場法2条1項)。
そして、都道府県知事は、公衆浴場の設置場所・構造設備が公衆衛生上不適切であると認めるとき、または設置場所が配置の適正を欠くと認めるときは、許可をしないことができると定められています(公衆浴場法2条2項)。
なお、配置基準については、都道府県(保健所を設置する市・特別区では市・特別区。以下同じ)の条例で定めるものとされています(公衆浴場法2条3項)。

また、公衆浴場の営業者は、換気、採光、照明、保温および清潔その他入浴者の衛生および風紀に必要な措置を講じなければならないことが定められています(公衆浴場法3条1項)。
その措置基準については、都道府県の条例で定めるものとされています(公衆浴場法3条2項。温泉の衛生管理に関するルールについては、後述します)。

さらに、公衆浴場の営業者は、伝染性の疾病にかかっている者と認められる者に対しては、その入浴を拒まなければならないことが定められています(省令の定めるところにより、療養のために利用される公衆浴場で、都道府県知事の許可を受けたものを除く。公衆浴場法4条)。

その他、入浴者は、公衆浴場において、浴槽内を著しく不潔にし、その他公衆衛生に害を及ぼすおそれのある行為をしてはならないことが定められています(公衆浴場法5条1項)。
そして、公衆浴場の営業者または管理者は、そのような行為をする者に対して、その行為を抑止しなければならないこと(公衆浴場法5条2項)、などが定められています。

公衆浴場法が定めるルールに違反した場合には、罰則の適用があります(公衆浴場法8条~11条)。
そして、公衆浴場法3条1項の規定に違反するなどした場合には、許可の取消しまたは営業停止命令を受けることがあります(公衆浴場法7条1項)。

(2)旅館業法が定めるルール

旅館業を営む場合、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区では市長・区長。以下同じ)の許可を受けなければならないことが定められています(旅館業法3条1項)。
そして、都道府県知事は、施設の構造設備が政令で定める基準に適合しないと認めるとき、施設の設置場所が公衆衛生上不適当であると認めるときなど、一定の場合には許可をしないことができると定められています(旅館業法3条2項・3項)。

また、旅館業の営業者は、施設について、換気、採光、照明、防湿および清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならないことが定められています(旅館業法4条1項)。
その措置基準については、都道府県(保健所を設置する市・特別区では市・特別区。以下同じ)の条例で定めるものとされています(旅館業法4条2項。温泉の衛生管理に関するルールについては、後述します)。
そして、旅館業の営業者は、施設を利用させるについては、政令で定める基準によらなければならないことが定められています(旅館業法4条3項)。

さらに、旅館業の営業者は、宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき、賭博その他の違法行為または風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるときなど、一定の場合を除いて宿泊を拒んではならないことが定められています(旅館業法5条1項)。

その他、旅館業の営業者は、厚生労働省令で定めるところにより、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、連絡先その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならないこと(旅館業法6条1項)、宿泊者は、営業者から請求があったときは、これらの事項を告げなければならないこと(旅館業法6条2項)、などが定められています。

旅館業法が定めるルールに違反した場合には、罰則の適用があります(旅館業法10条~13条)。
そして、禁錮以上の刑に処せられ、または旅館業法もしくは旅館業法に基づく処分に違反して罰金以下の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過しない場合には、旅館業の許可申請の不許可事由となります(旅館業法3条2項3号)。
また、旅館業法もしくは旅館業法に基づく命令の規定もしくは旅館業法に基づく処分に違反したときは、許可の取消しまたは営業停止命令を受けることがあります(旅館業法8条)。

4 薬研温泉

薬研温泉は、むつ市にある温泉です。
元和元年(1615年)、大坂夏の陣で敗れた豊臣側の城大内蔵太郎が当地まで落ち延びてきた際に発見したと伝えられています。
温泉名は、温泉の湧き出るところが漢方薬を作る道具である「薬研台」の形に似ていることに由来すると言われています。

【薬研温泉郷】

2024年5月某日、薬研温泉を訪れました。
薬研温泉に来るのは、今回が初めてであり、「薬研荘」様に宿泊しました。

【薬研温泉郷】

2024年5月某日、薬研温泉を訪れました。
薬研温泉に来るのは、今回が初めてであり、「薬研荘」様に宿泊しました。

【宿の外観】

まずは、「薬研荘」様の温泉をご紹介いたします。
泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」です。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【宿の外観】

まずは、「薬研荘」様の温泉をご紹介いたします。
泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」です。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 なし

その他、アルカリ性・弱アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。

【温泉】

※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。

「薬研荘」様の湯は柔らかく癖のない単純温泉ながら、浴槽の湯口の周りには温泉析出物が多く付着し、温泉としてのパワーが感じられました。

次に、「薬研荘」様のお食事は、天然の山菜・キノコと海産物を使った手作りのお料理を楽しみました。

【温泉】

※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。

「薬研荘」様の湯は柔らかく癖のない単純温泉ながら、浴槽の湯口の周りには温泉析出物が多く付着し、温泉としてのパワーが感じられました。

次に、「薬研荘」様のお食事は、天然の山菜・キノコと海産物を使った手作りのお料理を楽しみました。

【夕食】
 

 
※鍋は「山菜・キノコ鍋」と「アワビのしゃぶしゃぶ」です。
※焼き魚はニジマスです。

【朝食】
 
※鍋は行者ニンニクの卵とじです。
※焼き魚はサンマです。

【夕食】







※鍋は「山菜・キノコ鍋」と「アワビのしゃぶしゃぶ」です。
※焼き魚はニジマスです。

【朝食】



※鍋は行者ニンニクの卵とじです。
※焼き魚はサンマです。

5 温泉の表示に関するルール

温泉の表示については、温泉法によるルールがあるほかに、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)および「消費者契約法」という法律によるルールが存在します。

(1)温泉法によるルール

温泉法18条1項では、温泉を公共の浴用または飲用に供する場合、施設内の見えやすい場所に、環境省令で定めるところにより、次の各事項を掲示しなければなりません。
【温泉法18条1項により掲示を要する事項】
①温泉の成分
②禁忌症
③入浴または飲用上の注意
④入浴または飲用上必要な情報として環境省令が定めるもの

そして、温泉法施行規則10条1項では、温泉法18条1項による掲示は、次の各事項について行うものとされています。
【温泉法施行規則10条1項により掲示を要する事項】
①源泉名
②温泉の泉質
③源泉および温泉を公共の浴用または飲用に供する場所における温泉の温度
④温泉の成分
⑤温泉の成分の分析年月日
⑥登録分析機関の名称および登録番号
⑦浴用または飲用の禁忌症
⑧浴用または飲用の方法および注意
⑨温泉法施行規則10条2項に定める事項

さらに、温泉法施行規則10条2項では、温泉法18条1項により掲示を要する事項のうち、④入浴または飲用上必要な情報として環境省令が定めるものは、次の各事項とする、とされています。
【温泉法施行規則10条2項により掲示を要する事項】
①温泉に水を加えて公共の浴用に供する場合は、その旨およびその理由
②温泉を加温して公共の浴用に供する場合は、その旨およびその理由
③温泉を循環させて公共の浴用に供する場合は、その旨(ろ過を実施している場合は、その旨を含む)およびその理由
④温泉に入浴剤(着色し、着香し、または入浴の効果を高める目的で加える物質をいう。ただし、入浴する者が容易に判別することができるものを除く)を加え、または温泉を消毒して公共の浴用に供する場合は、当該入浴剤の名称または消毒の方法およびその理由

以上の各事項は、「温泉分析書」にまとめられ、通常、脱衣所内または浴室の出入口付近などに掲示されています。

なお、上記の掲示は、都道府県知事の登録を受けた登録分析機関の行う温泉成分分析の結果に基づいてしなければなりません(温泉法18条2項)。
そして、少なくとも10年ごとに温泉成分分析を受け、その結果についての通知を受けた日から起算して30日以内に、当該結果に基づき、掲示の内容を変更しなければなりません(温泉法18条3項、温泉法施行令1条)。

上記の掲示に関し、以下の場合には30万円以下の罰金に処せられ(温泉法41条)、行為者に加えて法人等の経営主体も同様の罰金刑に処せられます(温泉法42条)。
【温泉の掲示に関する温泉法41条による処罰の対象】
①温泉法18条1項の規定による掲示をせず、または虚偽の掲示をした場合
②温泉法18条2項の規定に違反した場合(上記①を除く)
③温泉法18条3項の規定に違反して、温泉成分分析をせず、または掲示の内容を変更しなかった場合

(2)景品表示法によるルール

温泉の表示については、景品表示法が問題となることがあります。

例えば、源泉に加水、加温、循環ろ過などを行っているにもかかわらず、「源泉100%」、「天然温泉100%」などと、源泉をそのまま利用しているかのような表示を行うことは、景品表示法により禁止される優良誤認表示(景品表示法5条1号)に該当するおそれがあります。

そして、優良誤認表示は、措置命令(景品表示法7条)、追徴金納付命令(景品表示法8条)、措置命令違反に対する罰則(景品表示法36条、38条1項1号・2項1号、39条、40条)の対象となります。

(3)消費者契約法によるルール

温泉の表示については、消費者契約法が問題となることがあります。

例えば、循環ろ過などを行っているにもかかわらず、その旨の表示をしないことは、消費者契約法における重要事項の不実告知に該当し、契約の取消事由となるおそれがあります(消費者契約法4条1項1号)。

6 奥薬研温泉

奥薬研温泉は、むつ市にある温泉です。
薬研温泉から大畑川の上流約2kmのところにあります。
2024年5月某日、奥薬研温泉を訪れました。
奥薬研温泉に来るのは、今回が初めてでした。

奥薬研温泉の歴史は薬研温泉よりも古く、862年(貞観4年)、恐山を開山した円仁が当地で道に迷った際に大怪我をし、河童に助けられ「かっぱの湯」に浸からせてもらって怪我を治したと伝えられています。

【「かっぱの湯」伝説を記した立札】

奥薬研温泉には、むつ市が管理する「元祖かっぱの湯」「夫婦(めおと)かっぱの湯」という2つの日帰り温泉施設が存在します。
「元祖かっぱの湯」は無人の無料露天風呂であり、入浴時間が男女で分かれています。
「夫婦かっぱの湯」は「奥薬研修景公園レストハウス」に併設される男女別の露天風呂であり、入浴料が必要です。
なお、「元祖かっぱの湯」は源泉かけ流しであり、「夫婦かっぱの湯」は循環・ろ過が行われています。

【奥薬研修景公園レストハウス】

泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【「かっぱの湯」伝説を記した立札】

奥薬研温泉には、むつ市が管理する「元祖かっぱの湯」「夫婦(めおと)かっぱの湯」という2つの日帰り温泉施設が存在します。
「元祖かっぱの湯」は無人の無料露天風呂であり、入浴時間が男女で分かれています。
「夫婦かっぱの湯」は「奥薬研修景公園レストハウス」に併設される男女別の露天風呂であり、入浴料が必要です。
なお、「元祖かっぱの湯」は源泉かけ流しであり、「夫婦かっぱの湯」は循環・ろ過が行われています。

【奥薬研修景公園レストハウス】

泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 なし

その他、アルカリ性・弱アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。

【元祖かっぱの湯】

「元祖かっぱの湯」「夫婦かっぱの湯」では、薬研渓流のせせらぎと森林の澄んだ空気に包まれながら、のんびりと露天風呂を楽しむことができました。

【元祖かっぱの湯】

「元祖かっぱの湯」「夫婦かっぱの湯」では、薬研渓流のせせらぎと森林の澄んだ空気に包まれながら、のんびりと露天風呂を楽しむことができました。

7 温泉の衛生管理に関するルール

私たちが安心して温泉入浴を楽しめるように、温泉の衛生管理に関するルールが存在します。
温泉の衛生管理に関するルールは、公衆浴場法3条1項・2項および旅館業法4条1項により、都道府県(保健所を設置する市・特別区では市・特別区)の条例で具体的措置を定めるものとされています。
青森市公衆浴場法施行条例・青森市旅館業法施行条例および八戸市公衆浴場法施行条例・八戸市旅館業法施行条例を調査したところ、浴室等の衛生管理に関するルールは青森市と八戸市で若干の違いはあるものの、内容・趣旨はおおむね共通していましたので(この種の条例は、国が定める基準に右にならえとなっているパターンが多く、都道府県により根本的に異なるということはないように見受けられます)、以下でご紹介いたします。

(1)公衆浴場法施行条例によるルール

青森市公衆浴場法施行条例4条では、次のような措置基準が定められています(抜粋)。

【日帰り温泉施設に適用されるルール】

脱衣所 ①開放窓(はえ、蚊等の侵入を防ぐための網戸等を備えた開放できる窓をいう)または換気設備を設けること。
②洗面設備を設けること。
③洗面設備が水飲み場として兼用できない場合にあっては、水飲み場を設けること。ただし、浴室等入浴者が利用しやすい場所に水飲み場を設けるときは、この限りでない。
浴室 ①換気および湯気抜きのための開放窓または換気設備を設けること。
②浴槽は、上縁の高さを洗い場の床面から0.3m以上とすること。ただし、洗い場での使用水および浴槽からの溢水が浴槽内に流入しない構造の浴槽または常時溢水する状態で使用される浴槽については、この限りでない。
③床は、水が滞留しないよう適当な勾配を付けること。
④床の最低部に適当な勾配を付けた排水溝を設けること。
⑤天井には、水滴が落下しないよう適当な勾配を付けること。
⑥室内は、清掃のしやすい構造とすること。
入浴施設 ①原水(浴槽水を再利用せずに浴槽または給水栓(これに類するものを含む)に直接供給される水)は、規則で定めるレジオネラ属菌に係る水質基準に適合したものとすること。
②貯湯槽(原水を貯留する設備)を設置している場合は、次のいずれかの措置を講ずること。
(ⅰ)貯湯槽内の水の温度を60度以上に保つこと。
(ⅱ)貯湯槽内の水を消毒すること。
(ⅲ)貯湯槽内の清掃および消毒を適宜行うこと。
③浴槽水について次のいずれかの措置を講ずること。ただし、循環式浴槽(浴槽水をろ過器を通して循環させる構造の浴槽)以外の浴槽であって、常時溢水する状態で使用し、かつ、毎日消毒するものに係る浴槽水にあっては、この限りでない。
(ⅰ)浴槽水中の遊離残留塩素濃度が1リットルにつき0.2mg以上になるよう塩素系薬剤による消毒を行い、遊離残留塩素濃度を適宜測定すること。この場合において、当該浴槽水が循環式浴槽に係る浴槽水であるときは、塩素系薬剤をろ過器の直前に注入し、または投入すること。
(ⅱ)オゾン殺菌その他の規則で定める方法により消毒を行うこと。
④浴槽水は、1日に1回以上(循環式浴槽に係る浴槽水にあっては、1週間に1回以上)換水すること。
⑤浴槽(下記⑥のろ過器及び配管を除く)は、1日に1回以上(循環式浴槽にあっては、1週間に1回以上)清掃し、適宜消毒を行うこと。
⑥循環式浴槽に係るろ過器及び浴槽水を循環させるための配管は、1週間に1回以上高濃度の塩素その他の適当な薬剤を含む水により十分に洗浄すること。
⑦浴槽水は、規則で定める方法により、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める頻度でレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
(ⅰ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水している場合:1年に1回以上
(ⅱ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水していない場合:半年に1回以上(気泡発生装置等微小な水粒を発生させる装置を浴槽に設置している場合にあっては、3月に1回以上)
(ⅲ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒していない場合:3月に1回以上
⑧浴槽水を浴室(浴槽を除く)に備え付けられた給水栓に供給している場合は、規則で定める方法により、3月に1回以上当該給水栓から供給される水のレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
⑨上記⑦および⑧の水質検査により、上記①に規定する水質基準に適合しないことが判明したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に報告すること。
⑩貯湯槽及び配管は、1年に1回以上生物膜の有無を点検し、生物膜があった場合は、その除去を行うこと。
⑪上記②から⑩までの措置等の状況を記録し、その記録を3年間保管すること。
※浴槽を有しない施設、公衆浴場の家族風呂であって、利用する都度、浴槽水を換水し、および浴槽を清掃し、かつ、適宜浴槽を消毒するものその他レジオネラ症の発生の予防上支障がないと市長が認める施設を除く。
遵守事項 ①浴槽水、その原水および上がり用水は、規則で定める水質基準に適合したものとすること。
②浴槽水は、常に、十分な量を保持し、かつ、適当な温度に保つこと。
③入浴者が利用する給水栓の水が飲用に適するかどうかを入浴者が見やすい場所に表示すること。
④脱衣室及び浴室は、脱衣及び入浴に支障がない温度に保ち、かつ、換気を十分に行うこと。
⑤入浴者が利用する場所は、十分な照度を保つこと。
⑥出入口、脱衣室、浴室(浴槽を除く)、便所、廊下、洗いおけ、腰掛け等は、一日に一回以上清掃し、または洗浄するとともに、適宜消毒を行うこと。
⑦入浴者に貸与するタオル、くしまたはヘアブラシは、未使用のものまたは消毒済のものを用いること。
⑧入浴者に貸与するかみそりは、未使用のものを用いること。
⑨浴室に使用済のかみそりを廃棄するための容器を備えるとともに、使用済のかみそりが放置されたままにしないこと。
⑩ねずみ、衛生害虫等の防除措置を十分に行うこと。
⑪従業者には、常に清潔な衣服を着用させること。
⑫入浴者の衛生および風紀に係る責任者を置き、随時巡回させること。

※温泉の衛生管理に関し、特に重要と思われるルールを抜粋しました。なお、「規則で定める」とあるものは、青森市公衆浴場法施行細則で定められていますが、ここでのご説明は割愛させていただきます。

【日帰り温泉施設に適用されるルール】

脱衣所 ①開放窓(はえ、蚊等の侵入を防ぐための網戸等を備えた開放できる窓をいう)または換気設備を設けること。
②洗面設備を設けること。
③洗面設備が水飲み場として兼用できない場合にあっては、水飲み場を設けること。ただし、浴室等入浴者が利用しやすい場所に水飲み場を設けるときは、この限りでない。
浴室 ①換気および湯気抜きのための開放窓または換気設備を設けること。
②浴槽は、上縁の高さを洗い場の床面から0.3m以上とすること。ただし、洗い場での使用水および浴槽からの溢水が浴槽内に流入しない構造の浴槽または常時溢水する状態で使用される浴槽については、この限りでない。
③床は、水が滞留しないよう適当な勾配を付けること。
④床の最低部に適当な勾配を付けた排水溝を設けること。
⑤天井には、水滴が落下しないよう適当な勾配を付けること。
⑥室内は、清掃のしやすい構造とすること。
入浴施設 ①原水(浴槽水を再利用せずに浴槽または給水栓(これに類するものを含む)に直接供給される水)は、規則で定めるレジオネラ属菌に係る水質基準に適合したものとすること。
②貯湯槽(原水を貯留する設備)を設置している場合は、次のいずれかの措置を講ずること。
(ⅰ)貯湯槽内の水の温度を60度以上に保つこと。
(ⅱ)貯湯槽内の水を消毒すること。
(ⅲ)貯湯槽内の清掃および消毒を適宜行うこと。
③浴槽水について次のいずれかの措置を講ずること。ただし、循環式浴槽(浴槽水をろ過器を通して循環させる構造の浴槽)以外の浴槽であって、常時溢水する状態で使用し、かつ、毎日消毒するものに係る浴槽水にあっては、この限りでない。
(ⅰ)浴槽水中の遊離残留塩素濃度が1リットルにつき0.2mg以上になるよう塩素系薬剤による消毒を行い、遊離残留塩素濃度を適宜測定すること。この場合において、当該浴槽水が循環式浴槽に係る浴槽水であるときは、塩素系薬剤をろ過器の直前に注入し、または投入すること。
(ⅱ)オゾン殺菌その他の規則で定める方法により消毒を行うこと。
④浴槽水は、1日に1回以上(循環式浴槽に係る浴槽水にあっては、1週間に1回以上)換水すること。
⑤浴槽(下記⑥のろ過器及び配管を除く)は、1日に1回以上(循環式浴槽にあっては、1週間に1回以上)清掃し、適宜消毒を行うこと。
⑥循環式浴槽に係るろ過器及び浴槽水を循環させるための配管は、1週間に1回以上高濃度の塩素その他の適当な薬剤を含む水により十分に洗浄すること。
⑦浴槽水は、規則で定める方法により、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める頻度でレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
(ⅰ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水している場合:1年に1回以上
(ⅱ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水していない場合:半年に1回以上(気泡発生装置等微小な水粒を発生させる装置を浴槽に設置している場合にあっては、3月に1回以上)
(ⅲ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒していない場合:3月に1回以上
⑧浴槽水を浴室(浴槽を除く)に備え付けられた給水栓に供給している場合は、規則で定める方法により、3月に1回以上当該給水栓から供給される水のレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
⑨上記⑦および⑧の水質検査により、上記①に規定する水質基準に適合しないことが判明したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に報告すること。
⑩貯湯槽及び配管は、1年に1回以上生物膜の有無を点検し、生物膜があった場合は、その除去を行うこと。
⑪上記②から⑩までの措置等の状況を記録し、その記録を3年間保管すること。
※浴槽を有しない施設、公衆浴場の家族風呂であって、利用する都度、浴槽水を換水し、および浴槽を清掃し、かつ、適宜浴槽を消毒するものその他レジオネラ症の発生の予防上支障がないと市長が認める施設を除く。
遵守事項 ①浴槽水、その原水および上がり用水は、規則で定める水質基準に適合したものとすること。
②浴槽水は、常に、十分な量を保持し、かつ、適当な温度に保つこと。
③入浴者が利用する給水栓の水が飲用に適するかどうかを入浴者が見やすい場所に表示すること。
④脱衣室及び浴室は、脱衣及び入浴に支障がない温度に保ち、かつ、換気を十分に行うこと。
⑤入浴者が利用する場所は、十分な照度を保つこと。
⑥出入口、脱衣室、浴室(浴槽を除く)、便所、廊下、洗いおけ、腰掛け等は、一日に一回以上清掃し、または洗浄するとともに、適宜消毒を行うこと。
⑦入浴者に貸与するタオル、くしまたはヘアブラシは、未使用のものまたは消毒済のものを用いること。
⑧入浴者に貸与するかみそりは、未使用のものを用いること。
⑨浴室に使用済のかみそりを廃棄するための容器を備えるとともに、使用済のかみそりが放置されたままにしないこと。
⑩ねずみ、衛生害虫等の防除措置を十分に行うこと。
⑪従業者には、常に清潔な衣服を着用させること。
⑫入浴者の衛生および風紀に係る責任者を置き、随時巡回させること。

※温泉の衛生管理に関し、特に重要と思われるルールを抜粋しました。なお、「規則で定める」とあるものは、青森市公衆浴場法施行細則で定められていますが、ここでのご説明は割愛させていただきます。

レジオネラ症とは、河川・土壌・温泉など自然界に生息するレジオネラ属菌が引き起こす細菌感染症です。
症状のタイプは、ポンティアック熱(発熱、悪寒、頭痛、倦怠感などの症状が特徴)とレジオネラ肺炎(発熱、食欲不振、頭痛、倦怠感などから始まり、約半数の患者に咳の症状が現れる。腹痛、下痢、意識障害を伴うこともある)の2種類があります。
ポンティアック熱は軽症であり数日で治ることが多いのですが、レジオネラ肺炎は重症化し死亡することもあります。
レジオネラ属菌は不衛生な入浴施設などで繁殖し、レジオネラ属菌で汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)を吸い込むことにより感染します(なお、レジオネラ属菌は、人から人、動物から人へ感染することはありません)。
レジオネラ症は、よく飲酒する人、喫煙者、高齢者、他の疾患がある人など、免疫機能が落ちている人が発症しやすいと言われており、上記のようなレジオネラ症防止対策が求められるのです。

その他、便所、附帯露天風呂、附帯サウナ室、附帯サウナ室、屋外排水設備等に関するルールが定められていますが、ここでのご説明は割愛させていただきます。

なお、上記は、一般公衆浴場(温湯等を使用し、同時に多数人を入浴させる公衆浴場であって、その利用の目的および形態が地域住民の日常生活において保健衛生上必要な施設として利用されるもの)に関するルールです。
その他の公衆浴場(サウナ風呂、家族風呂、露天風呂など)については、別途ルールが定められていますが(青森市公衆浴場法施行条例5条)、ここでのご説明は割愛させていただきます。

(2)旅館業法施行条例によるルール

八戸市公衆浴場法施行条例5条では、次のような措置基準が定められています(抜粋)。

【温泉旅館に適用されるルール】

換気、採光および防湿を十分にすること。
照明設備は、施設内のそれぞれの場所で宿泊者の安全衛生上または業務上の必要な照度を満たすものとすること。
客室、浴室(浴槽を除く)、洗面所等(便所を除く)は定期的に、便所は毎日1回以上清掃して常に清潔に保つこと。
客室、廊下その他適当な場所にくず入れを備えること。
浴室および洗面所には清浄な水を十分に供給すること。
水を使用する場所は、排水が支障なく行われるようにすること。
入浴施設(浴槽を有しない施設、客室ごとに設置された施設であって、利用する都度、浴槽水を換水し、および浴槽を清掃し、かつ、適宜浴槽を消毒するものその他レジオネラ症の発生の予防上支障がないと市長が認める施設を除く)については、次の措置を講ずること。
①原水(浴槽水を再利用せずに浴槽または給水栓に直接供給される水)は、規則で定めるレジオネラ属菌に係る水質基準に適合したものとすること。
②貯湯槽(原水を貯留する設備)を設置している場合は、次のいずれかの措置を講ずること。
(ⅰ)貯湯槽内の水の温度を60度以上に保つこと。
(ⅱ)貯湯槽内の水を消毒すること。
(ⅲ)貯湯槽内の清掃および消毒を適宜行うこと。
③浴槽水について次のいずれかの措置を講ずること。ただし、循環式浴槽(浴槽水をろ過器を通して循環させる構造の浴槽)以外の浴槽であって、常時水をあふれさせる状態で使用し、かつ、毎日消毒するものに係る浴槽水にあっては、この限りでない。
(ⅰ)浴槽水中の遊離残留塩素濃度が1リットルにつき0.2ミリグラム以上になるよう塩素系薬剤による消毒を行い、遊離残留塩素濃度を適宜測定すること。この場合において、当該浴槽水が循環式浴槽に係る浴槽水であるときは、塩素系薬剤をろ過器の直前に注入し、または投入すること。
(ⅱ)オゾン殺菌その他の規則で定める方法により消毒を行うこと。
④浴槽水は、1日に1回以上(循環式浴槽に係る浴槽水にあっては、1週間に1回以上)換水すること。
⑤浴槽(下記⑥のろ過器及び配管を除く)は、1日に1回以上(循環式浴槽にあっては、1週間に1回以上)清掃し、適宜消毒を行うこと。
⑥循環式浴槽に係るろ過器および浴槽水を循環させるための配管は、1週間に1回以上高濃度の塩素その他の適当な薬剤を含む水により十分に洗浄すること。
⑦浴槽水は、規則で定める方法により、次の区分に応じ、それぞれ次の頻度でレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
(ⅰ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水している場合:1年に1回以上
(ⅱ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒し、毎日換水していない場合:半年に1回以上(気泡発生装置等微小な水粒を発生させる装置を浴槽に設置している場合にあっては、3月に1回以上)
(ⅲ)浴槽水を塩素系薬剤により消毒していない場合:3月に1回以上
⑧浴槽水を浴室(浴槽を除く)に備え付けられた給水栓に供給している場合は、規則で定める方法により、3月に1回以上当該給水栓から供給される水のレジオネラ属菌に係る水質検査を行うこと。
⑨上記⑦および⑧の水質検査により、①に規定する水質基準に適合しないことが判明したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に報告すること。
⑩貯湯槽および配管は、1年に1回以上生物膜の有無を点検し、生物膜があった場合は、その除去を行うこと。
⑪上記②から⑩までの措置等の状況を記録し、その記録を3年間保管すること。

※温泉の衛生管理に関し、特に重要と思われるルールを抜粋しました。なお、「規則で定める」とあるものは、八戸市旅館業法施行細則で定められていますが、ここでのご説明は割愛させていただきます。

その他、客室、廊下、便所等に関するルールが定められていますが、ここでのご説明は割愛させていただきます。

なお、次の施設については、照度の基準(上記2)によることができない場合であって、かつ、衛生の維持に特に支障がないときは、当該基準によらないことができると定められています(八戸市旅館業法施行条例6条、八戸市旅館業法施行細則10条)。
(1)キャンプ場、スキー場、海水浴場等において特定の季節に限り営業する施設
(2)交通が著しく不便な地域にある施設であって、利用度の低いもの
(3)体育会、博覧会等のため一時的に営業する施設
(4)電気の供給されていない地域にある施設

8 恐山温泉

恐山温泉は、むつ市にある温泉です。
日本三大霊場として知られる恐山にあり、862年(貞観4年)に円仁が開山して以来、長い歴史のある温泉です。

2024年5月某日、恐山温泉を訪れました。
恐山温泉に来るのは、今回が初めてでした。
なお、恐山温泉は、恐山円通寺の境内にあります。

【霊場恐山の山門】

恐山は活火山であり、恐山円通寺の境内は地熱・噴気地帯です。
恐山の駐車場に到着し車から出ると、硫黄のにおいに包まれました。
恐山円通寺の境内には、外風呂として「古滝(こたき)の湯(男湯)」「冷抜(ひえ)の湯(女湯)」「薬師(やくし)の湯(男女交代制)」「花染(はなぞめ)の湯(混浴)」の4つの古風な湯小屋があり、温泉入浴を楽しむことができます。
「花染の湯」は宿坊「吉祥閣」の裏手にあり、見落としがちですので注意が必要です。

【古滝の湯】
 

【薬師の湯】
 

【花染の湯】
 

この日、恐山円通寺の境内にある宿坊「吉祥閣」に宿泊しました。
宿坊「吉祥閣」は、恐山円通寺が運営しています。
なお、宿坊および境内は携帯電話の電波が弱く、Wi‐Fiもありません。

【宿坊の外観】

宿坊「吉祥閣」の館内には宿泊者専用の内風呂「御法(のみり)の湯」があり、温泉入浴を楽しむことができます。
なお、外風呂には写真撮影禁止の表示がありませんでしたが、宿坊のきまりごととして宿坊内部の写真撮影は禁止となっていました。
ですので、宿坊内部の写真はなく掲載できませんが、とても立派できれいな宿泊施設であり、高級な温泉宿と比較しても遜色がありませんでした(ただし、一般の宿とは異なり、食事・消灯・起床の時間が決められており、後述する朝のお勤めなど様々な決まりごとがあります)。
「御法の湯」もまた、外風呂とは異なり現代的な大浴場でした。

恐山温泉は、湯小屋・浴場ごとに源泉が異なるため、硫化水素型の硫黄泉であることは共通しているものの、それぞれ泉質に違いがあります。
宿坊のスタッフの方によると「花染の湯」が一番人気とのことですので、「花染の湯」について泉質等のご説明をいたします。
「花染の湯」の泉質は、「酸性・含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉[硫化水素型](低張性酸性高温泉)」です。
「酸性泉」「硫黄泉[硫化水素型]」「塩化物泉」「硫酸塩泉」の4つの泉質の効能を持ちます。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【霊場恐山の山門】

恐山は活火山であり、恐山円通寺の境内は地熱・噴気地帯です。
恐山の駐車場に到着し車から出ると、硫黄のにおいに包まれました。
恐山円通寺の境内には、外風呂として「古滝(こたき)の湯(男湯)」「冷抜(ひえ)の湯(女湯)」「薬師(やくし)の湯(男女交代制)」「花染(はなぞめ)の湯(混浴)」の4つの湯小屋があり、温泉入浴を楽しむことができます。
「花染の湯」は宿坊「吉祥閣」の裏手にあり、見落としがちですので注意が必要です。

【古滝の湯】


【薬師の湯】


【花染の湯】


この日、恐山円通寺の境内にある宿坊「吉祥閣」に宿泊しました。
宿坊「吉祥閣」は、恐山円通寺が運営しています。

【宿坊の外観】

宿坊「吉祥閣」の館内には宿泊者専用の内風呂「御法(のみり)の湯」があり、温泉入浴を楽しむことができます。
なお、外風呂には写真撮影禁止の表示がありませんでしたが、宿坊のきまりごととして宿坊内部の写真撮影は禁止となっていました。
ですので、宿坊内部の写真はなく掲載できませんが、とても立派できれいな宿泊施設であり、高級な温泉宿と比較しても遜色がありませんでした(ただし、一般の宿とは異なり、食事・消灯・起床の時間が決められており、後述する朝のお勤めなど様々な決まりごとがあります)。
「御法の湯」もまた、外風呂とは異なり現代的な大浴場でした。

恐山温泉は、湯小屋・浴場ごとに源泉が異なるため、硫化水素型の硫黄泉であることは共通しているものの、それぞれ泉質に違いがあります。
宿坊のスタッフの方によると「花染の湯」が一番人気とのことですので、「花染の湯」について泉質等のご説明をいたします。
「花染の湯」の泉質は、「酸性・含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉[硫化水素型](低張性酸性高温泉)」です。
「酸性泉」「硫黄泉[硫化水素型]」「塩化物泉」「硫酸塩泉」の4つの泉質の効能を持ちます。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 【酸性泉】
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症
【硫黄泉】
アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)
【塩化物泉】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症
【硫酸塩泉】
塩化物泉と同じ

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症 病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 【酸性泉】
皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症
【硫黄泉】
酸性泉と同じ
【塩化物泉】
なし
【硫酸塩泉】
なし

その他、以下のような効能があるとされています。
①「硫黄泉」はメラニン色素の分解を促すシミ予防効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
②「硫酸塩泉」「塩化物泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。

恐山温泉の湯は効能がとても豊かであり、古くから名湯として知られてきました。
外風呂の湯小屋と宿坊の大浴場を湯めぐりし、硫黄の香りとともにピリピリ・キシキシとした湯ざわり、名湯の力強さを全身でたっぷりと味わいました。

そして、宿坊「吉祥閣」のお食事は、健康的な精進料理をおいしくいただきました。

【夕食】

【朝食】

なお、お食事は宿坊内の大食堂(だいじきどう)でいただきましたが、宿坊のスタッフの方によると、お料理については写真撮影が可能とのことでした。

滞在中、広大な恐山の境内を見て回りましたが、もの悲しくも圧倒的な風景の数々に驚かされました。
そして、宿坊のきまりごととして、宿泊者は朝のお勤め(祈祷・法要等)にも参加するところ、温泉入浴だけでなく貴重な体験を得ることができました。

【夕食】

【朝食】

なお、お食事は宿坊内の大食堂(だいじきどう)でいただきましたが、宿坊のスタッフの方によると、お料理については写真撮影が可能とのことでした。

滞在中、広大な恐山の境内を見て回りましたが、もの悲しくも圧倒的な風景の数々に驚かされました。
そして、宿坊のきまりごととして、宿泊者は朝のお勤め(祈祷・法要等)にも参加するところ、温泉入浴だけでなく貴重な体験を得ることができました。

9 温泉経営における法務リスク

温泉経営においては、①施設内での転倒等の事故、②悪質クレーム、③インターネット掲示板・SNS等による誹謗中傷、④労務問題、⑤各種法令違反に対する行政処分・罰則など、様々な法務リスクがあります。

法的課題・法的トラブルについてお困りの温泉経営者の方がいらっしゃいましたら、当事務所にご相談いただければと存じます。

10 おわりに

今回は、青森県の4つの温泉のご紹介と、温泉に関する法的なルールのご説明を中心にお話しさせていただきました。

今後も引き続き、温泉に関する日常コラムを継続的に執筆・掲載して参ります。

(弁護士・木村哲也)

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