代表弁護士の木村哲也です。

冬の休日を中心に、年に何度か、青森県内各地の温泉に足を運んでいます。
それは、完全な休暇というわけではなく、温泉宿にノートパソコンを持ち込み、オンラインで業務関連の研修・講義を受講したり、当事務所が運営するホームページ用の記事を執筆したりしながら、温泉と食事を楽しむ「ワーケーション」であることがほとんどです。

今回の日常コラムでは、「温泉」をテーマとして、お話させていただきます。

なお、温泉には飲用(飲泉)と浴用(入浴)がありますが、日本では飲泉があまり普及しておらず、私自身も飲泉をしたことはほとんどありません。
そのため、本コラムは、温泉の「入浴」を前提とする記事となります。

1 温泉とは

まずは、温泉に関する基礎知識について、お話させていただきます。

温泉の定義は、「温泉法」という法律に定められています。
温泉とは、地中から湧出する温水等で、源泉温度が25℃以上のもの、または「溶存物質の総量」「リチウムイオン」「水素イオン」「よう化物イオン」「メタけい酸」など含有成分に関する19の特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているもの、をいいます(温泉法2条)。

また、「溶存物質の総量」「硫黄」「二酸化炭素」など含有成分に関する7つの特定の条件のうち1つ以上規定値に達しているものは、療養泉として泉質名が付けられます。
泉質名は、「単純温泉」「塩化物泉」「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「二酸化炭素泉」「含鉄泉」「硫黄泉」「酸性泉」「放射能泉」「含よう素泉」の10種類に大別されます(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」。「鉱泉分析法指針」は、環境省が制定する行政指針であり、温泉の泉質などを定義しています)。

そして、温泉の効能(適応症)として、泉質を問わずに共通する「一般的適応症」と、泉質ごとに異なる「泉質別適応症」があります。
「一般的適応症」は、筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進、とされています(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」)。

また、温泉には、身体に悪影響をきたす可能性がある禁忌症(病気・病態)があります。
温泉の禁忌症には、泉質を問わずに共通する「一般的禁忌症」と、泉質ごとに異なる「泉質別禁忌症」があります。
「一般的禁忌症」は、病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期、とされています(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」)。

以下では、最近訪れた青森県内の温泉の一部をご紹介させていただきます。
その紹介記事の中で、具体的な「泉質別適応症」その他の温泉の効能、および「泉質別禁忌症」についても、ご説明いたします。

2 浅虫温泉

浅虫温泉は、青森市浅虫にある温泉です。
平安時代の1190年頃、浄土宗の開祖である法然(1133年-1212年)が陸奥国を訪れた際に、怪我をした鹿が傷を癒すために湯につかっているのを見出したと伝えられています(恐山を開山した円仁(794年-864年)を発見者とする伝承もあります)。
当時は、麻を蒸すのに温泉が利用されていたようです。
そして、地元の住民が入浴の効能を知らなかったため、法然(あるいは円仁)が浴用とすることを教えたとされています。
浅虫温泉の名称は、「麻蒸」から転じて「浅虫」と書き表すようになったと言われています。

2024年1月某日、浅虫温泉を訪れました。
3回目の浅虫温泉来訪となったこの日は、「割烹旅館さつき」様に宿泊し、温泉とお料理を楽しみました(なお、1回目は「椿館」様、2回目は「南部屋・海扇閣」様に宿泊しました。他にも気になっている宿が複数あり、別の機会にお邪魔したいと思っております)。

まずは、「割烹旅館さつき」様で楽しんだ温泉をご紹介させていただきます。
温泉法18条1項・温泉法施行規則10条によると、温泉を公共の浴用に供する場合には、源泉名、温泉の泉質、温泉の成分、温泉の温度、入浴の禁忌症、入浴の方法および注意などを、施設内の見やすい場所に掲示することが義務付けられています。

【館内掲示】

※画像では非常に小さな字となりますので、以下でポイントを絞ってご説明いたします。

「割烹旅館さつき」様では、上記画像のとおり館内掲示がされており、「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物質(低張性アルカリ性高温泉)」という泉質であることが書かれています。
簡易的な説明にとどめさせていただきますが、「硫酸塩泉」と「塩化物泉」の2つの泉質の効能があるということになります。
「硫酸塩泉」「塩化物泉」の泉質別適応症は共通であり、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、とされています。
なお、「硫酸塩泉」「塩化物泉」には、泉質別禁忌症はありません(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」)。

また、「硫酸塩泉」は肌を蘇生する美肌効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
そして、「硫酸塩泉」「塩化物泉」とも、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があります。
さらに、上記画像の館内掲示によると「pH値」が8.21と表示されていますが、「pH値」が7.5以上の弱アルカリ性または8.5以上のアルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。
以上から、美肌効果・保湿効果に優れた「美人の湯」であり、また、保温効果・保湿効果が高いことから寒く乾燥しがちな冬にぴったりの温泉である、ということができるでしょう。

青森ヒバの浴槽の香りに癒されながら、源泉かけ流しの湯を楽しみました。

【温泉】

※温泉の写真はスタッフの方の許可を得て撮影しました。

次に、「割烹旅館さつき」様のお食事は、青森の海の幸、山の幸、旬の食材を使ったとても美味しい夕食、朝食を楽しみました。

【夕食】
 
【夕食】


※お鍋の写真は鴨南蛮そばです。

【朝食】
 
【朝食】



また、「割烹旅館さつき」様は、猫の宿としても親しまれています。
滞在中の客室の扉を開けていると、3~4匹の猫が代わる代わる訪れ、中でくつろいでいました。

【猫】
 
【猫】


3 温泉むすめ

浅虫温泉駅の構内にある観光案内所には、温泉むすめ「浅虫夕凪」のパネルが設置されていました。
他にも、浅虫温泉の温泉街の数か所でパネル設置・グッズ販売が行われているとのことです。

【浅虫温泉駅構内の観光案内所】

【温泉むすめのパネル】

今回宿泊した「割烹旅館さつき」様でも、館内に温泉むすめのポスターが掲示されていました。

【温泉むすめのポスター】

温泉むすめとは、日本各地の温泉をモチーフにしたキャラクターです。
コミック、アニメーション、ゲームなどのメディアミックスが展開されており、全国各地の90を超える温泉地でパネル設置・グッズ販売などが行われているとのことです。

温泉むすめは、日本全国の温泉地・地方都市の魅力を国内外に発信し、地域活性化・まちおこしに繋がるコンテンツとして注目されています。
特殊な思想を持つ人たちによる悪質・不当な誹謗中傷・活動妨害を受け、苦境に陥る時期もありましたが、我が国の温泉文化を盛り上げるキャラクターとして、今後ますますの活躍が期待されます。

私は、そのような思いから、昨今、「温泉むすめプロジェクト」個人サポーターとして参加し(CAMPFIREコミュニティ)、その取り組みを支援しております。

4 谷地温泉

谷地温泉は、十和田市にある温泉です。
日本三秘湯(日本三大秘湯)の一つとされています(他の2つは、徳島県の祖谷温泉と北海道のニセコ薬師温泉です。ただし、ニセコ薬師温泉は、2014年5月に閉館となりました)。
八甲田山中に位置し、開湯400年の歴史があるとされています。
「十和田村史」によると、深持村の与治右衛門という者が山奥でシナの木の皮剥をしていて発見した、と言われています。

2024年2月某日、谷地温泉を訪れました。
谷地温泉に来るのは、今回が初めてでした。
山の中にある谷地温泉の一軒宿は、風情のある古びた木造の建物であり、とても趣があります。

【宿の外観】
 
【宿の外観】



山奥の温泉宿であるため、携帯電話が圏外となります。
しかし、客室で無料のWi‐Fiを利用可能であるため、特に不便は感じませんでした。

【宿の館内】

谷地温泉では、泉質の異なる2つの湯を楽しむことができます。
上の湯(かみのゆ)は42度の「単純温泉(低張性弱酸性低温泉)」、下の湯(しものゆ)は38度の「単純硫黄温泉[硫化水素型](低張性弱酸性温泉)」となります。

簡易的な説明にとどめさせていただきますが、上の湯は「単純温泉」であり、下の湯は「単純温泉」と硫化水素型の「硫黄泉」の2つの泉質の効能があるということになります。
「単純温泉」の泉質別適応症は、自律神経不安定症、不眠症、うつ状態です。
「単純温泉」には、泉質別禁忌症はありません。
「硫黄泉」の泉質別適応症は、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)です。
「硫黄泉」の泉質別禁忌症は、皮膚または粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症です(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」)。
なお、上の湯は、総硫黄の成分が「硫黄泉」の規定値近く含まれており、ほぼ硫化水素型の「硫黄泉」と同様の性質も持っていると言ってもよいでしょう。

また、「硫黄泉」はメラニン色素の分解を促すシミ予防効果があるとされ、「美人の湯」の一つであると言われています。
さらに、上の湯・下の湯とも弱酸性ですが、pH値が6未満の弱酸性または3未満の酸性の温泉には殺菌効果があり、皮膚病に効果があるとされています。

そして、谷地温泉の館内掲示では、まずは38度の下の湯に30分くらいつかったあと、次に42度の上の湯に5~10分くらい入るという入浴法が推奨されています。
38度程度のぬるめの湯は、副交感神経が刺激されリラックス効果を得られますし、長湯をすることにより温泉の成分の恩恵を受けやすくなります。
42度程度の湯は、日本人が好む温度であると言われており、気持ちよく温まることができるでしょう。
推奨された入浴法のとおり、硫黄の香り(正確に言えば、「硫黄泉」の独特の香りは硫黄そのものが発する香りではなく、硫黄と水素の化合物である硫化水素によるものです)に包まれながら、ゆっくりと谷地温泉の秘湯を楽しみました。

温泉を楽しんだあとは、お食事です。
谷地温泉では、名物の岩魚料理、そして、地元産の採れたての山菜・キノコを使った季節ごとの田舎料理が楽しめます。
夕食では、岩魚の塩焼、岩魚の刺身、岩魚の天ぷらを美味しくいただきました。

【夕食】
 
【夕食】



【朝食】

5 温泉ソムリエ

2024年1月18日、温泉ライフをより一層楽しむために、「温泉ソムリエ」の資格を取得いたしました。

【温泉ソムリエ認定証】

温泉ソムリエは、温泉ソムリエ協会が運営する民間資格です。
温泉の知識と正しい入浴法を身に着けていることを認定する資格となります。

温泉ソムリエの資格取得のための学習内容は、温泉知識(温泉の定義、温泉の種類、温泉の効果など)と入浴法(温泉別の入浴法、目的・状況別の入浴法、健康的な入浴法など)の2本立てです。
このコラムは、温泉ソムリエの資格取得において学んだ温泉知識を活用しながら、執筆いたしました。

温泉ソムリエの資格の取得は、温泉ソムリエ認定セミナー(半日)または温泉ソムリエ認定ツアー(1泊2日)に参加する方法と、オンラインで温泉ソムリエ認定講座を受講する方法があります。
私は、オンラインで温泉ソムリエ認定講座を受講する方法により、温泉ソムリエの資格を取得いたしました。

単に温泉を楽しむだけではなく、温泉について学ぶということも大切にしたいと思っております。

6 おわりに

青森県には、今回ご紹介した以外にも、数多くの温泉があります。

今後も、青森県内各地の様々な温泉に足を運び、温泉ライフを楽しみたいと思います。

また遠からず、温泉に関するコラムを執筆する予定です。

(弁護士・木村哲也)

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