代表弁護士で温泉ソムリエの木村哲也です。

最近の休日は、青森県内各地の温泉によく足を運んでいます。

今回の日常コラムでは、温泉に関する様々な知識・情報と、最近訪れた青森県内の温泉のご紹介を中心にお話させていただきます。

1 温泉の色

(1)温泉の色について

温泉には、湯が無色透明の温泉だけではなく、様々な色の湯をした温泉があります。

地中から湧き出した時から色が付いている温泉もあれば、湧出した時は無色透明の湯が空気に触れ、成分が酸化することにより色が付いたり、色が変化したりする温泉もあります。

また、光の反射・屈折・吸収、湿度などにより変色して見えたり、温泉成分の粒子が水中を浮遊することにより色付いて見えたりするなど、いくつかの理由があるとされています。

(2)無色透明

温泉には、無色透明のものが多いです。

他の泉質を併せ持っているのでなければ、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、酸性泉、放射能泉は、無色透明のことが多いです。

(3)様々な色の温泉

乳白色の色は、温泉の色で最もよく知られています。
また、エメラルドグリーン、コバルトブルーのカラフルな温泉は、ひときわ目を楽しませてくれます。

泉質・溶存物質
乳白色 硫黄泉[硫化水素型]であることが多いです。
エメラルドグリーン 硫黄泉[硫黄型]であることが多いです。
コバルトブルー ケイ素(メタけい酸)を多く含むと、コバルトブルーになりやすいです。

(4)鉄分を含む温泉

鉄分を含む温泉の色の特徴として、鉄分が少なければ緑、多くなると黄色、さらには茶褐色、赤褐色、赤へと変化していきます。

(5)モール泉

モール泉の色の特徴として、薄い緑、薄い黄色から、褐色、黒などの色が見られます。
モール泉については、後述します。

(6)まとめ

以上のとおり、温泉には、様々な色のものが見られます。
また、上記以外にも、様々な色の温泉があります。

そして、1日のうちに数回、温泉の色が変化すると言われている温泉もあり、温泉成分の酸化のほかに、光・湿度などが関係していると考えられています。
温泉の色は常に一定であるとは限らず、同じ成分が入っていれば同じような色になるとは限りません。

2 黄金崎不老ふ死温泉

2024年3月某日、黄金崎不老ふ死温泉を訪れました。
黄金崎不老ふ死温泉に来るのは今回が初めてであり、温泉名と同名の一軒宿である「黄金崎不老ふ死温泉」様に宿泊しました。

【宿の外観】

黄金崎不老ふ死温泉は、深浦町にある温泉です。
もともと海岸にわずかに温泉が湧いていた場所があり、1970年(昭和45年)に地下200メートルまでボーリングしたところ、自噴したと言われています。
海辺の岩場にある露天風呂が有名であり、壮大な日本海の向こうに沈む夕日は絶景です。
温泉名は、「ここで養生すれば、老いたり弱ったりしない」ということに由来しています。

【宿の外観】

黄金崎不老ふ死温泉は、深浦町にある温泉です。
もともと海岸にわずかに温泉が湧いていた場所があり、1970年(昭和45年)に地下200メートルまでボーリングしたところ、自噴したと言われています。
海辺の岩場にある露天風呂が有名であり、壮大な日本海の向こうに沈む夕日は絶景です。
温泉名は、「ここで養生すれば、老いたり弱ったりしない」ということに由来しています。

【温泉】

※「黄金崎不老ふ死温泉」様では、浴室内での写真撮影は禁止されています。上記は、館内掲示の写真です。

黄金崎不老ふ死温泉の泉質は「含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉(高張性中性高温泉)」であり、「含鉄泉」と「塩化物泉」の泉質を持ちます。
なお、「塩化物強塩泉」とは、「塩化物泉」の中でも特に塩化物の成分が濃い温泉のことです。
「高張性」とは、温泉の浸透圧のことであり、身体の細胞液の濃度と比較して濃い温泉であることを意味し、温泉の成分が身体に浸透しやすい温泉です(これに対し、「低張性」は、身体の細胞液の濃度と比較して薄い温泉であり、水分が身体に浸透しやすいです)。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

※本コラムにおける泉質名および適応症・禁忌症の記載は、平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」によります。

【温泉】

※「黄金崎不老ふ死温泉」様では、浴室内での写真撮影は禁止されています。上記は、館内掲示の写真です。

黄金崎不老ふ死温泉の泉質は「含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉(高張性中性高温泉)」であり、「含鉄泉」と「塩化物泉」の泉質を持ちます。
なお、「塩化物強塩泉」とは、「塩化物泉」の中でも特に塩化物の成分が濃い温泉のことです。
「高張性」とは、温泉の浸透圧のことであり、身体の細胞液の濃度と比較して濃い温泉であることを意味し、温泉の成分が身体に浸透しやすい温泉です(これに対し、「低張性」は、身体の細胞液の濃度と比較して薄い温泉であり、水分が身体に浸透しやすいです)。
浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

※本コラムにおける泉質名および適応症・禁忌症の記載は、平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」によります。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 【含鉄泉】
なし
【塩化物泉】
きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 【含鉄泉】
なし
【塩化物泉】
なし

その他、「塩化物泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。

黄金崎不老ふ死温泉の湯は鉄分を多く含むため赤褐色(これが光の具合により黄金色に見えます)であり、金気臭(鉄さびのにおい)を強く感じました(温泉のにおいについては、後述します)。
目の前に広がる日本海、潮風と波の音、夕暮れ時の絶景を味わいながら、入浴を楽しみました。

そして、「黄金崎不老ふ死温泉」様の夕食は、漁師町である深浦町の海の幸を中心とする和膳を美味しくいただきました。
この夕食の和膳には、深浦町の名物である深浦マグロの刺身が付いていました。
青森県内の本マグロ漁獲量の約半分は深浦町で水揚げされており、青森県一の水揚げ量を誇ります。

【夕食】
 

 

【夕食】






3 湯の花

温泉では、「湯の花」が見られることがあります。
「湯の花」以外にも、湯花、湯の華、湯華など、複数の表記があります。
「湯の花」とは、温泉の成分が固形化・沈殿したもののことです。
「硫黄華」、「石灰華」、「けい華」、「鉄華」、「硫酸塩華」など、温泉に溶け込んでいる成分により、色々な種類があります。

地中から高温で湧き出した温泉が空気に触れると、空気との温度差により冷却され、水分が蒸発し、酸素と反応することなどにより、温泉の成分が固形化・沈殿する現象が生じます。
これが「湯の花」であり、浴槽内を漂ったり、浴槽の壁面や湯口に付着したりします。

「湯の花」は、入浴剤などの用途で採取・販売されています。
また、古くは、虫よけ、火薬、染め物、絵画、治療薬など、様々な利用法がありました。

4 鯵ヶ沢温泉

2024年3月某日、「黄金崎不老ふ死温泉」様をチェックアウトしたあとは、深浦町の「大岩」、「千畳敷」などを見ながら、鯵ヶ沢町へ向かいました。

そして、鯵ヶ沢温泉を訪れました。
鯵ヶ沢温泉に来るのは今回が初めてであり、「鯵ヶ沢温泉 水軍の宿」様に宿泊しました。

【宿の外観】

鯵ヶ沢温泉は、鯵ヶ沢町にある温泉です。
太古の地殻変動により地中に閉じ込められた約30万年前の海水が、1943年(昭和18年)にボーリングにより湧出した、化石海水型温泉です。
また、宿の名称の「水軍」は、鎌倉時代から戦国時代までの長きにわたり津軽を席巻した日本海の覇者、「安東水軍」を指しています。

鯵ヶ沢温泉の泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物強塩泉(高張性弱アルカリ性高温泉)」です。
塩化物泉の浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【宿の外観】

鯵ヶ沢温泉は、鯵ヶ沢町にある温泉です。
太古の地殻変動により地中に閉じ込められた約30万年前の海水が、1943年(昭和18年)にボーリングにより湧出した、化石海水型温泉です。
また、宿の名称の「水軍」は、鎌倉時代から戦国時代までの長きにわたり津軽を席巻した日本海の覇者、「安東水軍」を指しています。

鯵ヶ沢温泉の泉質は「ナトリウム・カルシウム-塩化物強塩泉(高張性弱アルカリ性高温泉)」です。
塩化物泉の浴用の適応症・禁忌症は、以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 なし

その他、「塩化物泉」は、温泉の成分が肌に吸着しやすく保温・保湿効果が高いため、湯冷めしにくく湯上り後の肌の乾燥が抑制されるという特徴があるとされています。
また、アルカリ性・弱アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。

鯵ヶ沢温泉の湯は、色が無色透明であり(浴室での写真撮影が禁止されているため、写真を掲載することはできません)、塩分濃度が高いためしっかりと身体が温まります。
太古の海水が温泉となった奇跡と天地の恵みに感謝し、安東水軍が活躍した時代に思いを馳せながら、入浴を楽しみました。

そして、「鯵ヶ沢温泉 水軍の宿」様の夕食は、青森県産の旬の食材を用いた和食御膳をいただきました。
鯵ヶ沢町は漁師町であり、特に豊富な海の幸を楽しむことができました。
幻の魚と言われるイトウの刺身が付いており、今回初めてイトウを食しました。
鯵ヶ沢町では、白神山地の清流を利用したイトウの養殖が行われています。
イトウは、サケ・マスのような赤身の川魚であり、淡水魚特有の生臭さがなく脂がのっており、大変美味でした。

【夕食】
 

 
※焼き魚の写真は、メバルです。

【夕食】







※焼き魚の写真は、メバルです。

5 温泉のにおい

(1)温泉のにおいについて

温泉からは、温泉の成分に由来する様々なにおいが感じられることがあります。

(2)無臭

ほとんどの温泉は、無臭です。
ただし、意識して嗅いでみれば、温泉の成分に由来するにおいを、かすかに感じることがあります。

(3)硫黄臭

卵が腐ったようなにおいであり、硫黄泉の特徴です。
実際には硫黄そのものは無臭であり、硫化水素(硫黄と水素の化合物)が発するにおいです。
そのため、硫黄泉であっても、硫化水素を含まない泉質の場合には、このにおいは感じられません。

(4)金気臭

酸化鉄(鉄さび)のにおいです。
「舌を噛んでしまった時の血のにおい」と表現した方が分かりやすいという方もいらっしゃるかもしれません(血液中のヘモグロビンには鉄分が含まれています)。
鉄分を含む温泉では、金気臭が感じられることも多いです。

(5)モール臭

モール泉(後述)では、モール臭と呼ばれる独特のにおいが感じられることがあります。
植物由来の甘く芳しい香りです。

(6)アブラ臭

石油・ガソリン・タールのようなにおいです。
油脈がある地域では、アブラ臭のする温泉が湧き出すことがあります。

(7)まとめ

以上のとおり、温泉には、様々なにおいのものがあります。
また、上記以外にも、ヨウ素臭(ヨードチンキに似た消毒液のにおい)、アンモニア臭など、様々なにおいの温泉があります。

そして、例えば、金気臭に加えてアブラ臭もするなど、複数の種類のにおいが感じられる温泉もあります。

6 上北さくら温泉

東北町には、「モール温泉おがわら湖温泉郷」(あるいは「上北温泉郷」)があります。
豊富な湯量の源泉が町内に30か所以上あり、町内に数多くある温泉宿・日帰り温泉施設でかけ流しの温泉を楽しむことができます。
モール泉(モール温泉)とは、地中の泥炭層(泥炭とは、太古の植物が堆積してできた泥状の炭であり、石炭の一種です)を通過して湧出する温泉であり、植物性の有機物が含まれています。

2024年3月某日、東北町の「上北さくら温泉」様に宿泊しました。
「上北さくら温泉」様には以前1度宿泊したことがあり、この日は2回目の宿泊となりました。
そして、この日は、露天風呂付きの客室「さくらの間」でのひと時を楽しみました。

【温泉】
 
※「さくらの間」の客室内の内湯と露天風呂の写真です。

「さくらの間」には内湯と露天風呂があり、いずれも温泉となっています。
内湯は白い浴槽なので湯の色が分かりやすく、薄い緑色の湯であることが分かります。
ヌルヌル感のある湯ざわりのモール泉を、内湯と露天風呂で交互にたっぷりと堪能しました。
泉質は「単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【温泉】



※「さくらの間」の客室内の内湯と露天風呂の写真です。

「さくらの間」には内湯と露天風呂があり、いずれも温泉となっています。
内湯は白い浴槽なので湯の色が分かりやすく、薄い緑色の湯であることが分かります。
ヌルヌル感のある湯ざわりのモール泉を、内湯と露天風呂で交互にたっぷりと堪能しました。
泉質は「単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 なし

その他、アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。

温泉宿でのひと時は、温泉のほかにお食事も大きな楽しみです。
「上北さくら温泉」様の夕食は、青森の新鮮な食材を使用した和食膳をいただきました。

【夕食】
 

 

【夕食】

  




7 温泉の湯ざわり

(1)温泉の湯ざわりについて

温泉に入浴すると、様々な湯ざわり(湯の感触)を楽しむことができます。

(2)アルカリ性の温泉

アルカリ性の温泉では、「ヌルヌル」とした湯ざわりが感じられます。
古い角質を除去する美肌効果があるとされており、入浴後は肌の「ツルツル」感を感じることができます。

(3)酸性の温泉

酸性の温泉は殺菌力が高く、「ピリピリ」とした刺激のある湯ざわりが感じられます。

(4)塩化物を含む温泉

塩化物を含む温泉は温泉成分が肌に吸着しやすく、保温・保湿効果が高いです。
塩分が強いほど、入浴後は肌が「ベタベタ」とした感触(海水浴をした後のようなべたつき感)が感じられます。

(5)ナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)

重曹泉(ナトリウム-炭酸水素塩泉)では、「ヌルヌル」とした湯ざわりが感じられ、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。
入浴後は肌の「ツルツル」感を感じることができます。

(6)二酸化炭素を含む温泉

二酸化炭素を含む温泉では、入浴すると身体に気泡が付着し、「シュワシュワ」とした感触を得られます。

(7)硫黄を含む温泉

硫黄を含む温泉は肌の角質を軟化・溶解する働きがあるとされており、入浴後は肌の「スベスベ」感を感じることができます。

(8)モール泉

モール泉には「ヌルヌル」とした湯ざわりがあり、入浴後は肌が「しっとり」とした感触を得られます。

(9)まとめ

以上のとおり、温泉には、様々な湯ざわりのものがあります。

なお、単純温泉では湯ざわりに大きな差を感じないこともありますが、刺激が少ないため「やさしい湯」と言われることがあります。
アルカリ性単純温泉は肌触りがやわらかく、「やわらかい湯」と表現されることがあります。

8 東北温泉

東北町のキャッチフレーズは、「いで湯の里」です。
2024年3月某日、「上北さくら温泉」様をチェックアウトしたあとは、町内の「天然温泉まつのゆ」様、「姉戸川温泉」様、「八甲温泉」様(「八甲ラヂウム温泉」様)、「玉勝温泉」様を回り、さらに七戸町の「すもも沢温泉郷」様にも足を運んで、モール泉めぐりをしました。

そのうえで、東北町の「東北温泉」様に宿泊しました。
「東北温泉」様には以前1度宿泊したことがあり、この日は2回目の宿泊となりました。

【温泉】

※家族風呂の写真です。

「東北温泉」様では、「日本一黒い湯」と言われるモール泉を楽しむことができます。
泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【温泉】

※家族風呂の写真です。

「東北温泉」様では、「日本一黒い湯」と言われるモール泉を楽しむことができます。
泉質は「単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)」であり、浴用の適応症・禁忌症は以下のとおりです。

【浴用の適応症】

一般的適応症 筋肉もしくは関節の慢性的な痛みまたはこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息または肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
泉質別適応症 自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

【浴用の禁忌症】

一般的禁忌症
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍または高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓または肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
泉質別禁忌症 なし

その他、アルカリ性・弱アルカリ性の温泉は、古い角質を除去する美肌効果があるとされています。

「東北温泉」様の温泉は、浴槽の底がまったく見えないほどの黒い湯です。
上記の写真のとおり、まるでコーヒーのような色をしています。
とろみのある湯ざわりの真っ黒なモール泉で、のんびりと入浴を楽しみました。

そして、「東北温泉」様の夕食は、黒い湯の温泉にちなんだ「黒づくし御膳」をいただきました。
「黒づくし御膳」は、黒い食材・料理がふんだんに盛り込まれた御膳料理です。

【夕食】
 

 

【夕食】






9 温泉の温度

(1)温泉の温度について

温泉の温度は、熱い・ぬるい・冷たいまで様々なものがあり、入浴の効果や推奨される入浴時間・入浴法が異なります。

(2)温泉の温度による分類

温泉は、源泉(温泉が湧き出してくるところ)の温度により、冷鉱泉、低温泉、温泉、高温泉の4つに分類されます(平成26年7月1日改訂「鉱泉分析法指針」)。

名称 源泉の温度
冷鉱泉 25度未満
低温泉 25度以上34度未満
温泉 34度以上42度未満
高温泉 42度以上

(3)風呂の温度別の入浴の効果

自律神経には、体を緊張・興奮させる交感神経と、体をリラックスさせる副交感神経があります。
熱い風呂は、交感神経を刺激し、目覚めのような効果があります。
ぬるい風呂は、副交感神経を刺激し、気分を落ち着かせる効果があります。

風呂の温度 入浴の効果
【超高温浴】45~48度 高温・短時間入浴による非特異的変調効果(心身の調子を整え、抵抗力を高める効果)。
【高温浴】42~45度 交感神経を刺激する。精神・神経を高ぶらせ、心臓の拍動を増加させ血圧を上昇させるが、胃液分泌は抑制する。入浴を続けると胃酸の過酸状態では酸度を低下させ低酸状態では酸度を上げる「収れん効果」をもたらす。
【温浴】39~42度 体を温める効果があり、適度な発汗と皮膚浄化作用により浴後に爽快感がある。41~42度は日本人が気持ちよく感じる適温であり、40度以下は副交感神経を刺激するリラックス効果がある。夏なら38度、冬なら40度が、リラックス効果が高まる。
【微温浴】37~39度
(34~39度)
副交感神経を刺激する。精神・神経の興奮を抑え、脈拍数を落とし血圧を低下させるが、胃液分泌は促進する。夏なら38度、冬なら40度が、リラックス効果が高まる。
【不感温浴】34~37度 熱くも冷たくも感じない温度。エネルギーの消費量が最も低くなり、脈拍・血圧・呼吸にほとんど影響を与えないため、心疾患のある人でも心配なく入浴できる。長時間の入浴が可能。鎮静作用があり、主に精神障害、高血圧、不眠症などの療養に利用される。水中リハビリテーションに有効な水温でもある。
【冷温浴】25~34度 脈拍数は減少する。血圧は入浴時に一過性の上昇をし、入浴中は低下し、浴後また一過性の上昇を示す。運動浴(水中運動)や遊浴(水泳)に利用される。
【冷水浴】25度以下 皮膚の血管が収縮することにより血流が抑制され、皮膚は保温体制をとる。高温の風呂と併用して温冷交互浴を行う際にも利用される。海水浴はこの温度である。13~14度の冷泉に2~5分入浴するという方法があり、皮膚病や精神障害に有効である。

(4)温冷交互浴

温冷交互浴というものがあります。

これは、温度変化の環境に体が耐えられるようにするため、3分程度の温水入浴(38度以上<42度>)と20秒~1分程度の冷水入浴(25度以下<18~20度>)とを交互に3~5回行うものです。

末梢血管が拡張し、血行が良くなるため、乳酸などの疲労物質や老廃物を排出しやすくなり、疲労回復に大きな効果があります。
全身浴で行うと心臓に負担をかけるおそれがあるため、足浴(膝下だけを温泉につける入浴法)で行うと効果的であるとされています。

また、通常の入浴の途中で足を冷やすのも効果的であるとされています。
慣れる前は「温で始まり、温で終わる」、慣れれば「冷で始まり、冷で終わる」ことが推奨されます。

(5)風呂の温度別の入浴時間

熱い風呂は体に負担がかかるので入浴時間を短く、ぬるい風呂は入浴時間を長くするのが基本です。
また、熱い風呂でも、分割浴(短い時間入浴したあと、浴槽のそばで休憩したうえで、また入浴を繰り返すこと)などで工夫すると、体に負担をかけずに長湯ができます。

【入浴時間の目安】

風呂の温度 入浴時間の目安
42度 5分(5~6分。または約10分を3回に分ける分割浴)
41度 10分
40度 15分
39度 20分
36度 40分

【おすすめの分割浴】

風呂の温度 入浴時間の目安
42度程度 3分・3分・3分
40度以下 5分・8分・3分

(6)まとめ

以上のとおり、温泉の温度別に入浴の効果や推奨される入浴時間・入浴法をご紹介いたしました。

ただし、温泉の入浴時間・入浴法をあまり堅苦しく考える必要はありません。
上記の入浴時間を目安に、気持ちが良いと思う時間だけ入浴するのがよいでしょう。

10 おわりに

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
青森県が誇る温泉の魅力が少しでも伝われば嬉しく思います。

温泉に関する日常コラムは、今後も当面は継続的に執筆・掲載していく予定です。

(弁護士・木村哲也)

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