1 労務問題(紛争)の解決方法・手続について
労務問題(紛争)の主な解決方法・手続には、次のようなものがあります。
(1)交渉
労務問題(紛争)が発生したところ、どのように対処すればよいかわからない、当事者同士での解決が難しいなどの場合は、弁護士に相談し、解決を依頼するとよいでしょう。
労務問題(紛争)を解決するためには、まずは相手方との交渉を行うのが一般的です。
労働者から依頼を受けた弁護士が、労働者の代理人として、勤務先の企業・法人に対し、内容証明郵便を送付するなどして、労働者の要求(例えば、「未払い残業代があるので、支払を請求する」、「セクハラが行われているので、やめるよう請求する」、「解雇が不当なので、解雇の撤回を請求する」など)を通知してくるところから、交渉がスタートするケースが多いです。
そして、企業・法人から依頼を受けた弁護士は、企業・法人の代理人として、労働者の要求に対し、企業・法人の意向に沿った回答をし、交渉を進めていきます。
交渉がうまくまとまれば、訴訟(裁判)よりも早く、柔軟な解決ができるでしょう。
(2)仮処分
交渉が決裂した場合は、労働者の側から、勤務先の企業・法人に対し、裁判所に訴訟(裁判)を提起してくることが考えられますが、それに先だって、裁判所に仮処分の申立てをしてくることもあります。
仮処分とは、早急に結論を出さなければいけない理由がある場合に、労働者の地位・権利を暫定的に確保しておく手続です。
例えば、労働者がセクハラを受けていると主張している場合に、早急にセクハラを中止させる必要があることを理由として、セクハラの「差止・禁止の仮処分」を申し立ててくることなどが考えられます。
また、労働者が不当解雇されたと主張している場合に、給料をもらえなくなれば生活できなくなることを理由として、労働者の雇用契約上の地位を暫定的に維持し、それに伴って給料の支払も暫定的に維持させるという仮処分(これを「地位保全・賃金仮払いの仮処分」といいます)を申し立ててくることなども考えられます。
仮処分が申し立てられてから、早ければ1か月くらい、遅くとも2~3か月くらいで、仮処分を認めるか却下するかの結論が出ます。
また、仮処分の手続中に交渉がまとまり、労務問題の早期解決に至るというケースもあります。
(3)訴訟
交渉が決裂した場合は、労働者の側から、勤務先の企業・法人に対し、未払い残業代、セクハラに対する慰謝料、不当解雇に対する労働者の雇用契約上の地位の確認 (維持)を求めるなどの民事訴訟を裁判所に提起してくることが考えられます。
訴訟を提起する労働者、訴訟を提起された企業・法人とも、弁護士に依頼して手続を行うのが一般的です。
企業・法人から依頼を受けた弁護士は、お客様の言い分を主張、立証し、勝訴判決を目指します。
訴訟を提起したからといって、必ずしも判決となるわけではなく、お互いの納得のもと、和解による解決が図られることも少なくありません。
和解ができない場合は、裁判所が判決を下します。
解決までの期間は、半年から1年くらいが目安です。
(4)労働審判
交渉が決裂した場合は、労働者の側から、勤務先の企業・法人に対し、未払い残業代、セクハラに対する慰謝料、不当解雇に対する労働者の雇用契約上の地位の確認(維持)を求めるなどの労働審判が地方裁判所に申し立てられることも考えられます。
労働審判とは、労務問題(紛争)について、裁判官と2名の審判員によって行われる調停・審判の手続であり、地方裁判所で開かれます。
労働審判を申し立てる労働者、労働審判を申し立てられた企業・法人とも、弁護士に依頼して手続を行うのが通常です。
企業・法人から依頼を受けた弁護士は、お客様の言い分を主張、立証し、お客様の希望に沿った解決を目指します。
労働審判は、3回以内の期日で審判(裁判所の判断)が出されることになっており(審判には、判決と同様の効力があります)、訴訟よりもスピーディな解決を図ることが期待できます。
また、審判が出される前に、お互いの納得のもと、調停による和解が成立することも多々あります。
いずれにしても、おおむね3か月以内に結論が出ることが多いです。
もっとも、せっかく審判が出されても、当事者のいずれかがその審判に対して異議を申し立てた場合は、その審判には効力がないものとされ、自動的に訴訟に移行します。
労働審判は、審理の期間が短く、審判が出されても、当事者のいずれかが異議を申し立てれば、今までの手続が無駄になってしまうことから、事案が複雑な場合、当事者間の対立が激しい場合などには、向いていないといえます。
このような場合は、最初から訴訟が提起されることが多いです。
【ご相談ください】
労働紛争についてお悩みの方、まずはご相談ください。
ご依頼いただければ、お客様の代理人として、労働紛争の解決に向けて、交渉、仮処分、訴訟(裁判)、労働審判などにあたります。
(ご注意)
八戸シティ法律事務所では、労務問題については企業・法人側のサポートに注力しているため、労働者側からの労務問題に関する相談・依頼は原則としてお受けしておりません。
ただし、労働災害(労災)の問題に関しては、労働者の人身傷害という重大な結果を伴う事案であり、他の労務問題と比較して労働者側のサポートの必要性が高いと考えていることから、企業・法人側、労働者側とも相談・依頼をお受けいたします。
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