1 はじめに

離婚のときにいったん親権者を定めたものの、その後の事情の変更などがあれば、親権者の変更が可能となることがあります。

参考ページ
●親権・監護権について

2 親権者変更の手続

親権者を変更するときは、たとえ話し合い(離婚協議)により(家庭裁判所での離婚調停、離婚訴訟(裁判)を行わないで)離婚した場合であっても、家庭裁判所に親権者変更の調停(調停委員という中立の立場の人が間に入っての話し合いの手続)または審判(家庭裁判所の判断・決定を求める手続)を申し立てる必要があります。
親同士の話し合いだけで親権者を変更することはできないということです。

子どもが虐待を受けているなど、子どもを保護する緊急の必要性がある場合には、親権者変更の調停または審判の申立てと同時に、審判前の保全処分(家庭裁判所による審判の前の暫定的な処分)として、仮の監護者(監護権者)の指定(暫定的に監護者(監護権者)を指定する処分)、仮の子の引渡し(暫定的に子どもを引き渡す処分)を申し立てることができます。

弁護士にこれらの手続を依頼した場合は、弁護士がお客様の代理人として、各手続にあたります。

3 親権者変更の判断基準

親権者の変更が認められるかどうかの判断基準は、子どもの利益のために親権者の変更が必要かどうかという点です。

(1)夫婦間の協議により定めた親権者を変更する場合

夫婦間の協議により定めた親権者を変更する場合には、①当該協議の経過、②その後の事情の変更を中心に、③その他の事情を合わせた総合考慮により判断されます。

①当該協議の経過は、DV等を背景とした当事者間の対等性を欠く関係のもと、不適切な形で合意がされたものではないかなど、合意形成の過程に関する事情を問題とするものです。
②その後の事情の変更は、父母と子どもとの関係および父母間の関係などについて、当初の協議の際に基礎とされた重要な事情について変更が生じているか否かを問題とするものです。

(2)裁判所が定めた親権者を変更する場合

裁判所が定めた親権者を変更する場合には、①その後の事情の変更を中心に、②その他の事情を合わせた総合考慮により、子どもの利益のために親権者変更の必要があるといえるかどうかという基準で判断されます。

(3)変更後の親権者を定める際の判断基準

親権者の変更において共同親権とするか単独親権とするかを判断する際には、必要的単独親権事由(※)があれば単独親権とすべきこととなります。

※①父または母が子どもの心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき、②父母の一方が他の一方からDV(身体に対する暴力)その他心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、親権に関する協議が調わない理由その他の事情を考慮し、父母が共同して親権を行うことが困難であるとき、③その他の共同親権と定めることにより子どもの利益を害するときは、単独親権と定めることとなります。①~③を必要的単独親権事由といいます。

必要的単独親権事由がなければ、①父母と子どもとの関係、②父と母の関係、③その他一切の事情を考慮し、共同親権と単独親権のいずれを定めるかが判断されることとなります

4 親権者変更の類型

親権者変更の類型として、以下のようなものがあります。

①共同親権から単独親権への変更
②単独親権から共同親権への変更
③一方の親の単独親権から他方の親の単独親権への変更

②単独親権から共同親権への変更については、共同親権制度導入前に定めた親権者(単独親権)の変更も想定されます。
この点、共同親権制度が導入されたことのみをもっては、その後の事情の変更にあたるとは言い難く、一旦単独親権と定められたことを前提として、その後の父母と子どもとの関係や父と母との関係を考慮したうえで、その後の事情の変更、およびその他の事情の有無を検討し、子どもの利益のために単独親権から共同親権に変更すべきかどうかが判断されることとなります。

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