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内容

被相続人が自殺した場合の相続放棄

当事務所では、相続放棄に関するご相談・ご依頼を多数お受けしており、その中には被相続人が自殺した事案もございます。今回のニュースレターでは、被相続人が自殺した場合の相続放棄について、ご説明いたします。

1 相続放棄とは
相続放棄とは、相続人が遺産のすべてを放棄することです。相続放棄をすることにより、預貯金・不動産などのプラスの遺産だけでなく、借金・税金などのマイナスの遺産も引き継がないこととなります。相続放棄は、法律で定められた期限内に、相続放棄の申述書を作成し、家庭裁判所に提出するなどの手続をとる必要があります。

2 被相続人が自殺した場合に相続放棄を検討する理由
被相続人が自殺した場合、①プラスの遺産がほとんどないと考えられる、②マイナスの遺産がある(可能性がある)、③遺産の有無・内容は不明であるが、後々マイナスの遺産が判明した場合に備えて相続放棄しておきたい、④大家(賃貸物件の室内での自殺)・鉄道会社(飛び込み自殺)から損害賠償請求を受ける可能性がある、などの理由から、相続放棄を検討することが多いように見受けられます。

3 相続放棄の期限とその起算点
相続放棄の期限は、相続の開始(被相続人の死亡)を知った時から3か月です。自殺のケースでは、警察がDNA鑑定等により遺体の本人確認を行うことがあり、その場合には警察から「遺体が被相続人であることが確認された」旨の連絡を受けた時から3か月以内が期限となります。また、相続権は子が全員相続放棄すれば直系尊属(親・祖父母)に移り、直系尊属が全員相続放棄すれば兄弟姉妹・甥姪に移ります。この場合の直系尊属や兄弟姉妹・甥姪は、先順位の相続人が全員相続放棄をしたことを知った時から3か月以内に相続放棄の手続をとる必要があります。

4 注意が必要な法定単純承認事由
相続放棄をする場合に、被相続人の現金・預貯金や不動産などの遺産の名義変更をしたり、費消したりすると、法定単純承認事由として相続放棄の効力が失われることがありますので、注意が必要です。一方で、財産的価値のないような衣類等を形見分けすることや、賃貸物件を明け渡す際に財産的価値のないような家具・家財等を処分することは、法定単純承認事由には当たらないと考えられます。しかし、法定単純承認事由に該当するとリスクが大きいため、必ず弁護士に相談するようにしましょう。

5 弁護士にご相談ください
相続放棄の手続は、所定の期限内に迅速に、かつ慎重に手続を進めることが必要です。相続放棄をお考えの方は、お気軽に当事務所の弁護士にご相談ください。

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