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内容

個人事業主・自営業者の自己破産について

借金を返済していくことが不可能になった場合には、自己破産の手続を利用すれば借金の免除を受けることができます。昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で、自己破産に追い込まれる個人事業主・自営業者が増加しています。今回のニュースレターでは、個人事業主・自営業者の自己破産をテーマにご説明させていただきます。

1 自己破産の手続の流れ
自己破産の手続は、管轄の地方裁判所に申し立てます。手続を円滑に進めるためには、法的な知識が必要となりますから、専門家である弁護士にご相談・ご依頼いただくのがよいでしょう。依頼を受けた弁護士は、債権者に対して「受任通知」(弁護士が自己破産の依頼を受けたことを知らせる通知)を発送します。弁護士が受任通知を発送すると、債権者からの取り立てが止まります。そして、裁判所に提出する自己破産の申立書を作成し、必要書類の収集を行います。裁判所に自己破産の申立て(申立書および必要書類の提出)を行うと、裁判所が破産手続を指揮する破産管財人を選任し、破産手続開始決定を出します。その後、破産管財人が破産者の財産の調査・処分や債権者への配当などの業務を遂行し、破産管財人の業務の経過報告等を行う債権者集会が開催されます。その上で、破産に至る経緯によほど悪質な問題がなければ、免責(借金の免除)を許可する決定が裁判所から出され、手続が終了となります。

2 個人事業主・自営業者の自己破産の特徴
個人事業主・自営業者の自己破産では、一般的な給与所得者の自己破産とは異なり、上記のように破産管財人が選任される事案となるのが原則です。そのため、破産管財人の報酬にあてる20万円~(金額は事案によって異なります)の引継予納金を申立時に裁判所に納めなければなりません。また、事業用財産の処分、従業員の解雇、事業所の賃貸借契約等の解約など、個人事業主・自営業者の自己破産に特有の問題もあります。この点、自己判断で動くと手続に支障を来すおそれがあるため、依頼した弁護士の判断・助言のもとに対応するのがよいでしょう。

3 事業の継続の可否
個人事業主・自営業者が自己破産をしたからといって、その後に必ずしも事業の継続ができなくなるというわけではありません。ただし、事業用の財産は、自己破産の手続において、破産管財人によって処分されてしまいます。また、自己破産によって経済的信頼が失われた結果、取引先から取引を打ち切られるとか、新たな融資を受けることができなくなるなど、実際には事業継続が困難になることが多いです。

皆様の周囲に自己破産をお考えの個人事業主・自営業者の方がいらっしゃいましたら、当事務所をご紹介いただければと存じます。

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