内容
企業が陥る残業代問題のよくある落とし穴
当事務所では、企業における残業代問題に関するご相談・ご依頼を承っております。今回のニュースレターでは、企業が陥る残業代問題のよくある落とし穴について、解説させていただきます。
1 残業代込みの基本給なので残業代を支払っていない
従業員に対して「残業代込みの基本給である」旨を説明し、残業代を支払っていない例が見られます。しかし、このような取り扱いは通用しません。毎月定額で支払う給与の中に残業代を含めるのであれば、「固定残業代」の制度を利用しなければなりません。例えば、給与月額23万円について、基本給が20万円、20時間までの固定残業代が3万円と取り決めるなどです。このような取り決めをした場合には、実際の残業が20時間未満であっても、固定残業代3万円を支払う必要があります。固定残業代の取り決めの有効要件は、雇用契約書等に明記するなどして従業員と合意していること、基本給部分と残業代部分が明確に区分されていることなどです。
2 管理職なので残業代を支払っていない
課長、部長などの管理職であるとして、残業代を支払っていない例が見られます。しかし、管理職だからと言って、直ちに残業代を支払う必要がないわけではありません。法律上、「管理監督者」に該当すれば残業代の支払を免れますが、管理職と管理監督者とはイコールではありません。管理監督者に該当するためには、労働時間の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容および責任・権限(経営方針、企画立案、人事労務など)を有すること、一般の従業員と比較してその地位と権限に相応しい相応の待遇がなされていることなどが要件となります。要件を満たさない管理職には、残業代を支払う必要があります。また、管理監督者に該当する場合であっても、午後10時~午前5時の深夜労働に係る割増賃金の支払を免れることはできません。
3 労働時間と残業代をカウントしていない
残業代問題が発生する企業では、労働時間と残業代をきちんとカウントしていないことが多いです。これは、上記のように「残業代込みの基本給なので残業代を支払っていない」、「管理職なので残業代を支払っていない」などの誤りに陥っている企業では、ほとんどが犯しているミスであると言えます。また、固定残業代の制度を活用したとしても、固定残業代として取り決めた残業時間をオーバーすれば、オーバー分の残業代を支払わなければなりません。管理監督者についても、深夜労働に係る割増賃金を支払う必要がありますので、いずれにしても、労働時間と残業代をきちんと管理することは必須の対応です。
残業代問題についてお悩みの企業様は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。
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