内容
離婚・別居の際の子どもの奪い合いトラブルへの対応
子どもがいる夫婦の場合、離婚・別居の際に子どもの奪い合いのトラブルが発生することがあります。例えば、夫婦のどちらかが別居の際に子どもを連れ去ってしまうとか、子どもを手元に囲い込んで相手方配偶者と会えないようにしてしまうなどの問題です。今月号のニュースレターでは、このような離婚・別居の際の子どもの奪い合いトラブルへの対応について、解説させていただきます。
1 子の監護者指定
相手方(配偶者)が別居の際に子どもを連れ去ってしまったとか、子どもを手元に囲い込まれてしまったなどのケースでは、早めに子の監護者指定の審判を家庭裁判所に申し立てるべきでしょう。子の監護者指定とは、離婚が成立して正式に親権者が決まるまでの間、子どもと同居して世話をする親を指定する手続です。子の監護者指定の審判では、これまでに夫婦のどちらが主に育児を担ってきたか、子どもの生活環境として夫婦のどちらと同居するのが望ましいか、子どもが小学校高学年以上など一定の年齢に達している場合には、子どもが夫婦のどちらと生活することを希望しているかなどが判断材料となります。
2 子の引渡し
子の監護者指定の審判を申し立てる時に、子どもが相手方(配偶者)のもとで生活している場合には、子の引渡しの審判を同時に家庭裁判所に申し立てるのが原則です。子の引渡しとは、子どもが相手方(配偶者)のもとで生活している時に、子どもをご自身のもとに引き渡すべきかどうかを、裁判所に決定してもらう手続のことを言います。子の引渡しが認められるかどうかは、子の監護者指定の判断と連動するのが原則です。すなわち、子の監護者としてご自身が相応しいということであれば、子どもを相手方(配偶者)からご自身のもとへ引き渡すように命じる審判が下されるのが通常です。一方で、子の親権者として相手方(配偶者)が相応しいということであれば、子の引渡しは認められないのが基本です。
3 面会交流
離婚・別居の際の子どもの奪い合いトラブルが発生するような事案では、子どもとの面会交流が円滑に行われなくなることが少なくありません。子どもが相手方(配偶者)のもとで生活しており、思うように面会交流ができなくなってしまっている場合には、面会交流の調停や審判を家庭裁判所に申し立てることをお勧めいたします。
離婚・別居の際の子どもの奪い合いトラブルにおいては、子の監護者指定、子の引渡し、面会交流など、適切な手続に素早く対応していかなければなりません。離婚と子どもの問題に精通した弁護士のサポートを受けられることをお勧めいたします。
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