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内容

事業承継のポイント

これまで長く事業を継続し、業績が好調な会社であっても、経営者の高齢化による事業承継が必要となる時期が訪れます。事業承継をスムーズに実現するためには、問題となり得る事項を冷静に見極めて、早い段階から準備を進める必要があります。今月のニュースレターでは、事業承継のポイントをご説明させていただきます。

1 事業承継で必要となる視点
事業承継では、①経営の承継者を選定・教育し、事業承継に向けて社内の環境・体制を整備すること、②前経営者が保有する自社株を承継者に円滑・安定的かつ集中的に承継させること、③事業用資産(不動産など)や前経営者の連帯保証債務について、税務負担なども考慮して円滑に承継させることなどが大切な視点となります。

2 事業承継の方法
事業承継では、前経営者の生前に完了させるか、生前対策を講じておくことが必須となります。事前の準備がなければ、相続人同士の遺産分割に時間がかかったり、自社株が相続人間で分散してしまったりする可能性があります。

前経営者の生前に事業承継を完了させる方法としては、①自社株を承継者に売却する方法、②自社株を承継者に贈与する方法が考えられます。いずれの方法も、前経営者と承継者との合意のみで、自社株を集中的に承継させることが可能です。しかし、①の方法では承継者に購入資金の負担が生じますし、②の方法では承継者以外の相続人の遺留分に配慮する必要がありますし、承継者に贈与税の負担が生じます。

前経営者が生前対策を講じておく方法としては、前経営者が遺言書を作成し、前経営者の死亡時に自社株を承継させる方法が考えられます。この方法によると、承継者の負担が相続税の程度で済みます。しかし、承継者以外の相続人の遺留分に配慮する必要がありますし、遺贈・死因贈与を円滑に実現するために、遺言執行者の選定が必要となるなど、手続が煩雑になる場合があります。

以上のようなメリット・デメリットを踏まえた上で、事業承継の方法を選択する必要があります。

3 経営承継円滑化法に基づく諸制度
高齢化が加速する我が国では、事業承継の推進が喫緊の課題であり、経営承継円滑化法による様々な支援措置があります。具体的には、自社株の生前贈与について遺留分の対象から除外するなどの制度、自社株や事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度などが設けられており、これらの諸制度をうまく活用するとよいでしょう。

事業承継の準備を適切に進めるためには、様々な要素を検討する必要があります。事業承継についてお悩みの方は、当事務所にご相談いただければと存じます。

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