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内容

未収金問題を発生させないための取引契約書・その1

商品の売買、工事の請負、物品の製造、サービスの提供など、営業活動を行った際には、顧客・取引先に対して売買代金や請負代金などの債権が発生します。これらの債権について未収金が発生すると、企業・法人の財務に悪影響を及ぼします。今月号と来月号のニュースレターでは、2回に分けて、未収金問題を発生させないための事前対策として、取引契約書に盛り込むべき内容をご紹介させていただきます。

1 連帯保証人
取引契約書で、顧客・取引先に連帯保証人を立てさせることにより、顧客・取引先が金銭の支払をしない場合に、連帯保証人に対して支払を請求していくことが可能となります。また、顧客・取引先に対して、連帯保証人に迷惑を掛けないためにも、支払をきちんと履行しなければならないという注意喚起にもなります。なお、民法改正により、2020年4月からは、経営者保証(経営者が企業・法人の債務を保証すること)以外の個人の連帯保証については、原則として、公正証書の作成が必要となります。

2 保証金
取引契約書の定めにより、顧客・取引先から、数か月分の取引額に相当する保証金を事前に差し入れてもらうことも有効です。顧客・取引先が支払を遅延した場合に、保証金から充当・相殺処理をすることで、債権の回収を図ることが可能となります。

3 所有権留保条項
所有権留保とは、商品の売買・買主への納品を行った場合であっても、代金が完済されるまでは商品の所有権を売主のもとに留めることを言います。取引契約書で所有権留保条項を定めておくことで、顧客・取引先が支払を遅延した場合に、所有権が自社にあることを根拠に商品を引き上げることにより、損失を回避することが可能となります。

4 期限の利益の喪失条項
期限の利益とは、「〇月〇日までに支払う」、「〇月から〇月まで〇回に分けて支払う」などの期限の猶予のことを言います。そして、期限の利益の喪失条項とは、顧客・取引先が支払を遅延した場合や、財産状態が悪化したと認められる相当な理由がある場合に、期限の猶予を喪失させ、直ちに一括払いする義務が生じる旨の取り決めのことを言います。期限の利益の喪失条項を取引契約書に設けることで、有事の際に速やかな債権回収手続への移行が可能となります。

以上のように、未収金対策として取引契約書に盛り込むべき内容には様々なものがあります。顧客・取引先との力関係などにより、すべての内容を盛り込むことはできないかもしれませんが、可能なものは取り入れるのがよいでしょう。債権回収や未収金対策でお悩みの企業・法人様は、お気軽に当事務所にご相談ください。(来月号に続く)

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