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内容

夫婦の性格の不一致で離婚や慰謝料請求ができるか?

夫婦が離婚をする理由として、最も多いのが性格の不一致です。司法統計によれば、裁判所に申し立てられた離婚事件のうち、離婚理由の第1位は男性も女性も性格の不一致となっています。今月号のニュースレターでは、夫婦の性格の不一致で離婚や慰謝料請求ができるかについて、ご説明させていただきます。

1 性格の不一致で離婚ができるのか?
法律で定められた離婚原因があれば、離婚をすることができます。また、法律で定められた離婚原因がなくても、相手方が離婚に同意すれば、離婚をすることができます。

この点、性格の不一致は、それ自体では法律上の離婚原因にはなっていません。そのため、相手方が離婚に同意すれば離婚できますが、相手方が離婚を拒否している場合には、性格の不一致だけを理由に離婚をするのは困難です。

もっとも、性格の不一致が原因で夫婦が別居し、別居が長期間にわたっている場合には、法律で定められた離婚原因である「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性が高くなります。そして、この場合には、相手方が離婚を拒否していても、最終的には裁判で離婚が認められることとなります。

2 性格の不一致による離婚について言及した裁判例の紹介
性格の不一致による離婚について言及した裁判例として、「婚姻生活の破綻原因の最大のものは夫婦の生活観、人生観上の隔絶(いわゆる性格の不一致)であったというほかはない」とした東京高等裁判所の判断があります。この裁判例では、離婚が認められましたが、性格の不一致だけで離婚を認めたわけではありません。長期間の別居の事実もあって「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当することを理由に離婚を認めたものです。

3 性格の不一致で慰謝料請求ができるか?
慰謝料請求が認められるためには、相手方に違法な行為があることが前提となります。そして、離婚における慰謝料とは、相手方に離婚原因を作った責任がある場合に、これによって被った精神的損害を賠償してもらうというものです。

性格の不一致だけでは、通常、相手方に違法な行為があるとまでは言えませんし、夫婦のどちらが悪いとも言えません。ですから、単に性格の不一致があるというだけでは、慰謝料を請求できない場合がほとんどです。

以上のように、相手方が離婚を拒否している場合には、性格の不一致だけを理由に離婚をすることは困難です。この場合、相手方が離婚に同意するように、粘り強く説得していくことが必要となります。また、最終的には裁判で離婚を認めてもらうことも見据えて、別居するという選択も検討しなければなりません。皆様の周りに性格の不一致を理由とする離婚でお悩みの方がいらっしゃいましたら、当事務所をご紹介いただければと存じます。

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