【表面】(PDF 598kb)
ニュースレター44-1
【裏面】(PDF 503kb)
ニュースレター44-2

表面の内容

従業員の退職時に発生しやすいトラブル

今回は、従業員の退職時に発生しやすいトラブルとして、退職勧奨(従業員の自主的な退職を勧め促すこと)と退職後の競業避止義務の問題について、それぞれ、基本的なポイントをご説明させていただきます。

1 退職勧奨のポイント
勤務態度不良や勤務成績不良などで辞めてもらいたい従業員がいる場合、適法な解雇には高いハードルがあることを踏まえると、会社としては、いきなり解雇するのではなく、まずは退職勧奨をすべきということになります。

退職勧奨を行うことそれ自体は、原則として会社の自由です。しかし、あまりに行き過ぎた行為は、不当な強要行為として違法と判断されるため、注意が必要です。

退職勧奨の違法性は、①退職を迫った行為の態様や表現方法(プライバシー侵害を伴うものか、侮辱的な表現や脅迫的な表現であったかどうか)、②会社側の意図(嫌悪の感情に基づくものか、業務上の必要性に基づくものかどうかなど)、③会社側の行為の頻度や期間(頻繁かつ長期にわたっていないか)などを考慮要素として判断されます。

したがって、退職勧奨を行う際には、侮辱的・脅迫的な表現とならないよう言動に十分注意し、回数および期間は退職を求める事情の説明などに通常必要な限度にとどめ、明確に拒否された場合にはそれ以上の退職勧奨は控えることがポイントとなります。

2 退職後の競業避止義務のポイント
退職後の競業避止義務については、退職する従業員が競業他社へ転職することを止めさせることはできるのか、競業他社へ転職した元従業員の業務を止めさせることはできるのかといった場面で問題となります。

在職中の競業行為とは異なり、退職後の競業避止義務が認められるためには、原則として明確な合意があることが必要ですし、合意があってもその制限の内容が合理的なものでなければ無効とされてしまいます。

合意の有効性は、①その目的(競業避止を必要とする会社側の正当な利益・目的の有無)②その範囲(制限される競業行為の内容・場所的範囲・期間)③代償措置の有無などを考慮要素として判断されます。裁判例を見る限り、職業選択の自由を制限することとなる退職後の競業避止義務は、そう簡単には有効とは認められていません。

「自主退職を促しても拒否する従業員がいる。今後どうするのがよいか」、「会社の機密情報を守るため、従業員が競業他社へ転職することを禁止する誓約書を差し入れさせたいが、どのような内容にすればよいか」など、退職時に発生する問題でお悩みのことや、ご不明のことなどがありましたら、まずは当事務所にお気軽にご相談ください。

裏面の内容

早いもので今年も11月になりました。本年も残すところあとわずかとなり、当事務所でも来年に向けた準備に入っていかなければなりません。今月号のニュースレターでは、当事務所の近況といたしまして、①第2回・保険代理店のための交通事故勉強会を開催させていただいたこと、②第6回・企業法務実務セミナーを開催させていただいたことをご報告させていただきます。

1 第2回・保険代理店のための交通事故勉強会
2017年10月4日、当事務所にて、第2回・保険代理店のための交通事故勉強会を開催いたしました。今回は、交通事故で発生する傷害の内容として最も多い「むち打ち」をテーマとしました。

勉強会では、後遺障害等級認定の手続を多数手掛けている行政書士法人青森総合法務事務所の行政書士・皆川眞友子氏にもお越しいただき、後遺障害のポイントを解説いただきました。

当事務所からは、損害賠償請求手続にスポットを当てて、代表弁護士・木村哲也および弁護士・山口龍介が「むち打ち事案への対応のポイント~賠償問題の適正な解決のために~」というテーマで講演させていただきました。具体的には、むち打ちのケースでの損害賠償額の算定方法、保険会社による治療費や休業損害の打ち切りへの対応、事故状況や過失割合が争点となった場合の戦いなど、実務上よく問題となるポイントについて解説いたしました。

2 第6回・企業法務実務セミナー
2017年10月19日、当事務所の主催で、第6回・企業法務実務セミナーを開催いたしました。テーマは、「従業員の退職時に発生しやすいトラブルと対処法」でした。

代表弁護士・木村哲也からは「従業員の引継義務・留学費等の返還請求について」と題しまして、従業員の退職時にうまく業務の引き継ぎを履行していただくためのポイントや、会社が従業員のために留学費・資格取得費用・研修費用などをかけてきたのに、すぐに退職してしまったという場合に、留学費等を返還させることは可能かといった論点について、解説させていただきました。

また、弁護士・山口龍介からは「退職勧奨の限界事例・退職後の競業避止義務違反について」と題しまして、退職勧奨(問題社員などに退職を勧めて促すこと)が違法とされた例・違法とされなかった例およびその判断基準、従業員退職後の競業避止義務の合意の有効性を判断するための考慮要素などについて、解説させていただきました。