令和8年10月28日、八戸シティ法律事務所が主催する第24回企業法務実務セミナーとして、地域の企業様を対象に「その部下、問題社員ですか?それとも、心の不調ですか?~問題社員対応とメンタルヘルス対応の見極めと実務~」と題する講演を行いました。
講師は、八戸シティ法律事務所の弁護士・山口龍介、弁護士・畠山賢次、弁護士・下山慧が担当しました。


 

 

 

遅刻・欠勤の増加、業務指示への反発、協調性の欠如といった「問題行動」の背景には、実はメンタル不調が隠れているケースが少なくありません。
逆に、メンタル不調を理由に問題行動が見過ごされ、職場に悪影響を及ぼしているケースも存在します。
「性格の問題」か「メンタル不調」かの見極めを誤れば、懲戒処分・解雇の無効や、安全配慮義務違反による損害賠償など、企業にとって重大な法的リスクにつながりかねません。
そこで、問題社員対応とメンタルヘルス対応が交錯する現場での実務対応について、事例を交えて解説するため、本セミナーを開催いたしました。

本セミナーの第1講座では、問題社員対応とメンタルヘルス対応それぞれの法的責任の基本構造を整理したうえで、勤怠不良の裏に不調が隠れている「隠れ不調型」、メンタル不調を理由に問題行動を正当化する「盾(タテ)利用型」、指導の過程で不調を発症する「複雑型」という、現場で交錯する3つの危険なパターンについて解説いたしました。
第2講座では、「決めつけずに、並行して動く」という見極めの基本姿勢をはじめ、事実確認面談の進め方、診断書の読み方、受診勧奨・受診命令の実務、パターン別の初期対応について解説いたしました。
第3講座では、休職開始時から復職判定、復職後のフォローアップ、退職・解雇に至るまでの実務プロセスと、管理職が部下の不調サインに気づき、早期に相談につなげるための対応力強化について解説いたしました。

問題社員対応とメンタルヘルス対応は、制度上は別々の対応ですが、実際の現場では両者が激しく交錯します。「決めつけない」「記録を残す」「産業医と連携する」という基本を押さえ、指導と体調面への配慮を並行して進めることが、トラブルを防ぐうえで重要となります。
本セミナーの講演が、各企業様において、問題社員対応とメンタルヘルス対応を適切に進めるための一助となれば幸いです。

【講演内容】
第1講座
1 2つの法的責任の基本構造
(1)企業の労務管理を縛る「2大法的視点」
(2)問題社員対応における法的責任
(3)メンタルヘルス対応における法的責任
2 現場で交錯する3つの危険なパターン
(1)パターンA 隠れ不調型
(2)パターンB 盾(タテ)利用型
(3)パターンC 複雑型
第2講座
1 見極めの基本姿勢
(1)判断軸「通常のパフォーマンスからの“乖離”があるかどうか」
(2)決めつけずに、並行して動く
2 面談の実務
(1)面談を行う前提として押さえておきたいサイン
(2)絶対にやってはいけないNGな声かけ
(3)正しい聞き方 3つのポイント
3 診断書の読み方
(1)診断書を見るときの3つのチェックポイント
(2)主治医と産業医、役割の違いを理解する
4 受診勧奨の実務
(1)受診勧奨は「心配・配慮」を前面に
(2)本人が受診を拒否した場合はどうするか
5 パターン別の初期対応
(1)パターンA 隠れ不調型:指導と体調面のケアを両輪で進める
(2)パターンB 盾(タテ)利用型:客観的資料の提出を求め、厳格に区別する
(3)パターンC 複雑型:「時間軸」を分けて、記録を保全する
第3講座
1 休職・復職対応から退職・解雇に至るまでの実務プロセス
(1)休職開始時と期間中の対応についてのチェックポイント
(2)復職判定のプロセス
(3)復職後のフォローアップと再発防止
(4)退職・解雇に向けたプロセス
2 管理職向け対応強化
(1)管理職が気づくべきサインと、取ってはいけない対応
(2)組織的な予防策の構築

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