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ニュースレター49-1

内容

認知症の高齢者や未成年者がいる場合の遺産分割

亡くなった方(被相続人)の財産(遺産)を相続人が引き継ぐためには、相続人全員が参加して遺産分割をしなければなりません。遺産分割にあたって、相続人の中に認知症の高齢者や未成年者がいる場合には、特別の注意が必要となってきますので、以下で解説させていただきます。

1 認知症の相続人がいる場合
遺産分割を有効に成立させるためには、各相続人に判断能力があることが必要とされます。したがって、相続人の中に認知症で判断能力が失われた方がいる場合には、そのままでは原則として遺産分割を成立させることはできません。

このようなケースで遺産分割を進めるためには、「成年後見制度」を利用することが必要となります。成年後見制度は、家庭裁判所に申立てをすることで、認知症などで判断能力が失われた方の財産管理や身上監護を行う成年後見人を選任してもらう手続です。成年後見人には親族が選任されることが多いのですが、遺産分割が必要なケースでは弁護士などの専門職が選任されるのが通常です。そして、成年後見人が選任されると、成年後見人がその相続人に代わって遺産分割に参加することとなります。なお、遺産分割が終了した後は、その相続人が亡くなるまで、成年後見人がその相続人の財産管理や身上監護を行っていくこととなります。

2 未成年者の相続人がいる場合
未成年者は、単独では遺産分割などの法的な行為をすることができず、親権者などの法定代理人の同意があるか、法定代理人が未成年者に代わってしなければなりません。したがって、相続人の中に未成年者がいる場合には、親権者などの法定代理人がその相続人に代わって遺産分割に参加することとなります。

しかし、例えば、父、母、未成年の子の3人家族で、父が亡くなったというケースでは、母と子が相続人となります。このようなケースでは、母と子の遺産分割において、母が母自身の立場かつ子の法定代理人の立場で遺産分割に参加することとなると、母の判断次第で子の利益が害される危険があります。そこで、このような利害対立があるケースでは、母が子に代わって遺産分割に参加することは許されず、家庭裁判所に子の特別代理人の選任を申し立てて、選任された特別代理人が子に代わって遺産分割に参加するという手続を踏む必要があります。誰を特別代理人として選任するのかは家庭裁判所の決定によりますが、親族が選任されることが多いです。

このように、相続人の中に認知症の高齢者や未成年者がいる場合には、遺産分割の手続は特に慎重に進めていかなければなりません。遺産分割の件でお困りの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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