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ニュースレター47-1

内容

交通事故におけるシートベルト非着用と過失割合

12月~2月の冬季は、路面の凍結や積雪の影響で、交通事故が多い時期であると言えます。今月号のニュースレターでは、交通事故において、「シートベルトを着用していなかった場合、過失割合はどうなるのか?」という問題を解説させていただきます。

1 シートベルト非着用の危険性
シートベルトを着用せずに交通事故に遭った場合の危険性は、一般的によく知られていることと思います。シートベルトの着用の有無によって、交通事故死亡率は約14~15倍高まると言われています。自動車乗車中の交通事故死亡者について、約4割をシートベルト非着用者が占めるという統計データもあります。

シートベルトの着用は、2008年6月に施行された改正道路交通法によって、一般道でも後部座席を含む全ての座席で着用が義務付けられています。統計では、一般道での運転席のシートベルト着用率は約98%、助手席のシートベルト着用率は約95%と高い数値を示しています。これに対し、後部座席のシートベルト着用率は約36%にとどまっています(以上の数値は全国平均)。運転席・助手席でのシートベルト非着用とは異なり、一般道での後部座席のシートベルト非着用には今のところ罰則の適用がありません。しかし、より安全なカーライフをお送りいただくためにも、何卒、後部座席でのシートベルトの着用を心がけていただければと存じます。

2 シートベルト非着用と過失割合
「過失割合」とは、交通事故における各当事者の過失(落ち度)の割合のことを言います。そして、例えば被害者の過失割合が2割という場合には、被害者が加害者に対して請求できる賠償金の額が2割減額されてしまうのですが、これを「過失相殺」と言います。そして、シートベルトの着用は道路交通法に定められた法的な義務ではありますが、交通事故はシートベルトを着用していないことが直接的な原因となって発生するものではありません。したがって、シートベルトを着用していなかったこと自体が、直ちに過失割合や過失相殺に繋がるわけではありません。

しかし、シートベルトを着用していなかったことによって損害を拡大させたと認められる場合には、過失割合が発生してしまいます。裁判例では、シートベルト非着用が被害者の傷害結果を拡大させたと認めたもので、おおむね5%~20%程度の過失割合と判定しているケースが多いように思います(もっとも、事故状況や受傷内容いかん等によっては、より高い過失割合が認定させることもあり得ます)。これに対し、シートベルト非着用が損害を拡大させたと認めることが困難であるとして、過失割合として認定されないケースも少なくありません。当事務所では、交通事故と過失割合に関する多数の解決実績がございます。交通事故被害でお困りの方は、当事務所にご相談ください。

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