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ニュースレター29-1

内容

相続の際の会社の支配権争いを防止しましょう

会社の支配権とは、会社の「株」を保有することを意味します。株と言えば、ニュース番組などで上場企業の株価情報が報じられ、普段は投資のイメージが強いと思います。しかし、中小企業であっても、株は存在します。取締役の選任などの意思決定は、過半数の株を保有する株主の意見で行うことができます(例外的に3分の2超の株や4分の3の株が必要となる重要事項もあります)。すなわち、過半数の株を保有することで、社長を交代させることもできるのであり、それは会社の所有者を意味するものなのです。中小企業の場合は、社長が100%またはそれに近い株を保有していることも多いでしょう。これをオーナー社長と言います。会社の所有者兼経営の実行者という意味です。

1 相続の際に株が分散するリスク
社長が100%の株を持っている場合、社長が健在なうちは、会社の支配権の問題が発生することはないでしょう。しかし、社長が亡くなって、相続が発生した場合のことも考えておかなければなりません。社長に子どもが3人いたとすると、何も対策を取っていないと、社長が亡くなったときに、3人の子どもがそれぞれ3分の1ずつの株を相続する権利が発生してしまいます。

この場合、子どもたちの間で、誰が社長の地位や株を引き継ぐかについて、うまく協議ができれば問題にはならないでしょう。しかし、お互いが社長の地位や株を譲らず、株式が3人の子どもに分散してしまうと、それぞれの思惑が対立して、会社の意思決定が迅速に行えず、正常な会社経営ができなくなる事態も考えられます。このようなことは、絶対に避けなければなりません。

2 会社の支配権争いを防止するために
したがって、社長が元気なうちに、対策をきちんと立てておくことが大切です。どの子どもに会社を継がせるのか、子どもに継がせない場合には従業員等から後継者を選び、株のことをしっかりと決めておくことです。具体的には、生前に株を移転しておくことや、遺言書を残しておくことなどが考えられます。こうした対策は、急な不幸があった場合や、認知症などで判断能力に問題が出た場合には、もはや講じることができなくなってしまいます。ですので、オーナー社長の方には、是非とも、元気なうちに早めの対策をお考えいただきたいと存じます。

会社の相続争いの防止について、ご不明のことなどがありましたら、お気軽に当事務所の弁護士にご相談いただければと思います。

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