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ニュースレター21-1

内容

会社のお金を使い込んだ従業員への対応(その1)

従業員によるお金の使い込みが発覚する場合があります。民事上は損害賠償請求の対象となり、刑事上は業務上横領などの犯罪に当たり、労働関係上は懲戒処分の対象となる重大な問題です。この場合、会社としては、どのような対応をすべきでしょうか。

1 すぐに行う必要があること
当然ではありますが、直ちにその従業員が会社のお金を扱えないようにしましょう。

そして、すぐに証拠の確保に動きましょう。証拠の確保は、①使い込みをした本人に、始末書などの形で、いつ、どのように、いくらの金額を、どうやって持ち出したか、持ち出したお金をどのように使ったかを詳しく書かせる、②使い込んだお金の金額が分かる通帳、帳簿、小切手、支払明細等の資料の確保といったことが考えられます。

こういった証拠がないと、民事上、刑事上、労働関係上の問題のいずれにも対応できなくなる可能性が出てきますので、注意が必要です。

2 民事上の責任
端的に言うと、使い込まれたお金をどうやって弁償してもらうかということです。

従業員と話し合いがつく場合には、使い込まれた金額を確定し、今後の弁償の方法について、会社と従業員との間で公正証書を作成するのがよいでしょう。その場合、確実な回収のために、連帯保証人を立てさせるといったことも考えられます。

従業員が使い込みを否定する場合には、会社から裁判を起こす必要があるでしょう。

3 刑事上の責任
従業員による会社のお金の使い込みは、業務上横領などに当たる犯罪です。

刑事上の問題にするには、警察に被害届を出し、証拠を提供するといったことが必要となります。また、告訴状を提出する方法も考えられます。

ただし、被害届や告訴状を出しても、実際に刑事事件として動くかどうかは警察次第です。また、使い込みをした従業員が逮捕された場合、その従業員の資力がなくなり、一切の弁償がされずに終わってしまう可能性があることには注意が必要です。

使い込みをした従業員を懲戒解雇できるか、給与を支払わなくてもよいのかなど、労働関係上の問題については、次回以降のニュースレターで解説させていただきたいと思います。会社のお金を使い込んだ従業員への対応についてお困りの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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