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ニュースレター14-1

内容

労災による損害賠償責任にご注意ください

労災(労働災害)とは、従業員が業務中あるいは通勤中、怪我をしたり、病気にかかったり、障害が残ったり、死亡したりする災害のことを言います。労災が発生した場合、企業に損害賠償責任が課せられることがあります。

1 企業に損害賠償責任が課せられる場合(安全配慮義務違反)

労災が発生したからと言って、必ず企業に損害賠償責任が課せられるというわけではありませんが、企業に「安全配慮義務」の違反が認められる場合には、企業は損害賠償責任を負うことになります。

企業は、従業員に業務を行わせるにあたって、その生命・身体の安全を確保する法律上の義務を負っています。この義務のことを「安全配慮義務」と言います。企業が「安全配慮義務」に違反したために、労災が発生してしまったという場合には、企業は従業員側から損害賠償請求を受けるリスクがあるのです。

2 労災保険だけでは安心できません

労災が発生した場合は、労災保険からの保険給付があります。しかし、労災保険だけでは、企業が負うことになる損害賠償責任のごくわずかな部分しか填補してくれません。死亡や重度の障害を残す労災では、労災保険による填補がされてなお、企業は数千万円から1億円以上の損害賠償責任を課せられることが十分にあり得ます。

企業が多額の損害賠償責任を負担した事例として、電通事件という注目すべき裁判がありました。大卒の新入社員が2年目の夏に過労自殺したケースですが、最終的に企業が遺族に1億6800万円を支払うことで決着しています。

3 考えられる対策は?

労災による損害賠償責任のリスクに対しては、安全の確保を徹底することはもちろんですが、各損害保険会社が労災用の保険を販売しています。万が一に備えて、導入を検討されることをお勧めします。

次回のニュースレターでは、「どのような場合に企業の安全配慮義務違反が認められるのか」を解説させていただきたいと思います。

労災についてお困りの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

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