保釈とは

保釈とは、起訴されたあと、保釈金(後述)の納付などを条件として、被告人(起訴された人)の身柄拘束を解き、いったん釈放する手続のことをいいます。

保釈の請求

保釈をしてもらうためには、まずは、裁判所に対し、保釈の請求を行うことになります。
保釈の請求は、保釈請求書を作成し、身元引受書などの添付書類をそろえて、裁判所に提出することによって行います。

保釈の請求は、起訴される前は行うことができず、起訴されたあと、請求することができるようになります。

保釈の請求がなされると、裁判官は、保釈を認めるかどうかを判断します。
保釈を認めるかどうかの判断基準は、次の項目「どのような場合に保釈が認められるか」を参照ください。

どのような場合に保釈が認められるか

保釈は、権利保釈、裁量保釈、義務保釈の3種類があります。
3種類のいずれかに該当すれば、保釈が認められます。
それぞれどのような場合に認められるか、ご説明します。

権利保釈

保釈は、次のいずれにも該当しない場合は、かならず認められます(次のいずれかに該当してしまうと、認められない可能性があります)。
これを権利保釈といいます。

・被告人が死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪を犯したものであるとき
・被告人が前に死刑または無期もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁固にあたる罪につき有罪となったことがあるとき
・被告人が常習として長期3年以上の懲役または禁固にあたる罪を犯したものであるとき
・被告人が証拠隠滅をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
・被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者(証人など)もしくはその親族の身体もしくは財産に害を加えまたはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
・被告人の氏名または住居が分からないとき

裁量保釈

上記のいずれかに該当してしまう場合でも、裁判官が保釈を認めることが相当であると判断すれば、保釈が認められます。
これを裁量保釈といいます。

義務保釈

勾留の期間が不当に長くなった場合は、保釈を認めなければならないとされています。
これを義務保釈といいます。
もっとも、実務において、義務保釈がなされることは、あまりありません。

保釈金について

保釈が認められれば、保釈の条件として、保釈金を裁判所に納付することとされます。
保釈金とは、保釈されるにあたって、保証金として裁判所に納付するお金のことをいいます。
正式には、保釈保証金といいます。
保釈金が納付されたあと、被告人の身柄が釈放されます。

保釈金の額は事件によって違いますが、相場は200万円くらいです。
犯罪が軽い場合などは、100万円くらいとされることがあります。
被告人が資産を有する場合などは、数千万円、数億円とされることがあります。

保釈金が用意できない場合は、一定の手数料を納めると、保釈金を貸してくれる、日本保釈支援協会という組織があるので、これを利用する方法もあります。

保釈金は、裁判が終われば、原則として全額を返してもらえますが、逃亡、証拠隠滅などの問題をおこせば、保釈が取り消されて再び身柄を拘束され、保釈金の全部または一部を没取(没収)されることがあります。

保釈の請求が認められなかったとき

保釈は、請求しさえすれば、かならず認められるというわけではありません。
被告人が罪を争っている場合、被告人に余罪があって追起訴(余罪について、追加して起訴されること)が予定されている場合などは、保釈が認められないことがよくあります(これらの場合でも、保釈が認められる可能性はあります)。

もっとも、保釈は、一度請求して認められなかった場合でも、繰り返し請求することができます。
保釈を認めるかどうかを判断する裁判官は、交代で決まります。
裁判官は、保釈を認めやすい裁判官と認めにくい裁判官とがいるため、裁判官が違えば、一度は認められなかった保釈でも、次は認められるという可能性があります。

また、保釈を認めない決定が誤りであるとして、裁判所に対し、準抗告または抗告という不服申立てをすることもできます。

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