はじめに

個人事業主・会社・法人の自己破産には、非事業者(個人)の自己破産とは異なる様々なポイントがあります。
もっとも、個人事業主で、事業を停止してから相当期間(数年)が経過している場合などは、非事業者(個人)の自己破産と同様に進めていくことがあります。
このページでは、一般的な個人事業主・会社・法人の自己破産のケースで、手続をスムーズに進めるために注意すべき、主な手続のポイントを説明します。

主な手続のポイント

スケジュール

個人事業主・会社・法人の自己破産では、売掛金の確保、仕掛工事の処理、従業員の解雇など、多くの問題点を含んでいるケースが少なくありません。
そのため、 どのタイミングで事業を停止し、裁判所に自己破産を申し立てるかというポイントがあります。
すなわち、売掛金を確保して自己破産の手続の費用(裁判所に納付する破産予納金、弁護士費用など)にあてる、仕掛工事の中断などで顧客に多大な迷惑をかけることのないように配慮するなど、スムーズに自己破産の手続を進めるためには、どのタイミングで従業員を解雇し、事業を停止するか、そして、裁判所に自己破産を申し立てる時期はいつになるか、自己破産の申立てに向けての段取りをどう進めていくか、こうしたスケジュールの策定が非常に重要なのです。

また、事業を停止したあと、弁護士が債権者に受任通知(「弁護士が自己破産の依頼を受けたので、今後の連絡はすべて弁護士にしてください。
本人には、直接連絡・ 取立をしないでください」という内容の通知)を送付することもありますが、債権者に受任通知を送付することで混乱が予想されるような場合などには、受任通知を出さずに、いきなり裁判所に自己破産を申し立てるという工夫が必要となります(実際には、受任通知を出さずに自己破産を申し立てるケースの方が多いです)。

債権者の把握

個人事業主・会社・法人の自己破産では、一般的に債権者の数が非常に多く、その正確な把握が重要なポイントとなります。
債権者には、金融機関だけでなく、未納が生じている取引先、賃貸物件の貸主なども含まれます。
また、税金・社会保険料、光熱費、従業員の給料など、金銭を支払う義務があるのに支払っていない相手がいれば、そのほとんどが債権者となります。
これらの債権者を漏れなくリストアップするように努めなければなりません。

また、親戚・友人・知人から資金を借りているような場合は、これらの方々も債権者となります。
このような場合、「親戚・友人・知人には迷惑をかけたくないので、そこだけ支払ってから自己破産にできないか」というご相談をいただくことがあります。
しかし、債権者は全員平等であり、特定の債権者にだけ優先的に支払うことは法的に許されていません。
こうした不平等な支払をしてはいけませんので、十分にご注意ください。

売掛金・預貯金の確保

個人事業主・会社・法人の自己破産では、今後支払われる予定の売掛金があるというケースがしばしば見られます。
また、まとまった預貯金があるというケースも少なくありません。
こうした売掛金・預貯金は、きちんと確保することができれば、自己破産の手続の費用(裁判所に納付する破産予納金、弁護士費用など)にあてることができ、自己負担を軽くすることができます。
どこからも、まったく自己破産の手続の費用を確保できないという状態では、自己破産の手続を進めていくことはできません。
そのため、いつ、いくら確保することができるかという点は、自己破産の手続のスケジュールを策定する重要な判断材料となります。

賃借物件およびリース・ローン物件の処理

賃借物件がある場合には、賃貸人に返還する必要があります。賃借物件の返還が遅れると、それだけ未払い賃料が増えてしまいます。
ただし、事務所が賃借物件であり、その中に所有する設備・什器・備品が大量にあるという場合、土地を賃借しており、その上に建物を保有しているという場合など、自己破産を申し立てる側で下手に処理(設備・什器・備品の廃棄、建物の売却など)をすると問題になることもありますから、破産管財人(※)に賃貸借契約の処理をゆだねるべきケースも多いです。

また、リース・ローン物件がある場合には、いずれ債権者が引き上げていくものですので、現状を維持し、引き上げにあたって、債権者に無用の迷惑をかけることのないように努めることが大切です。

※ 破産管財人とは、裁判所の選任により、自己破産に至る経緯の調査、財産の売却による現金化、債権者への配当などの業務にあたる弁護士のことをいいます。個人事業主・会社・法人の自己破産では、原則として破産管財人が選任されます。もっとも、個人事業主で、事業を停止してから相当期間(数年)が経過しているような場合は、破産管財人が選任されないこともあります。

従業員の解雇

個人事業主・会社・法人の自己破産では、従業員を雇用しているケースが多いです。
自己破産をする場合は、当然ながら、従業員を解雇することになります。
従業員の未払い給料がある場合は、国がその一部を立て替えてくれる制度がありますので、必要に応じて従業員にその制度を説明し、従業員の生活維持に協力することになります。

資料の確保

個人事業主・会社・法人の自己破産では、裁判所に次のような資料を提出することになります。
自己破産の手続をスムーズに進めるため、関係資料をきちんと確保しておくことが大切です。

預金通帳
決算報告書・確定申告書
賃金台帳
契約書類(賃貸借契約書、リース契約書など)
保険証券(火災保険、自動車保険、建設工事保険など、すべての保険)
その他の証券(出資証券、ゴルフ会員権、株券など)
法人登記簿・不動産登記簿 など

【ご相談ください】
個人事業主・会社・法人の自己破産についてお悩みの方、まずはご相談ください。

ご依頼いただければ、お客様の代理人として、個人事業主・会社・法人の自己破産の手続を適切に進めていきます。

なお、個人事業主・会社・法人の自己破産に関する相談は、初回無料です。

●個人事業主・会社・法人の自己破産に関する弁護士費用

個人事業主・会社・法人の自己破産についてはこちらもご覧下さい

●個人事業主・会社・法人の自己破産について
●個人事業主・会社・法人の自己破産のポイント
●個人事業主の自己破産の成功事例1
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●会社の自己破産の成功事例1
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